タイトル:ドロップアウト 龍の咆哮 (ドロップアウトシリーズ 3) 著者:佐々木禎子 イラスト:実相寺紫子 発行:講談社 レーベル:ホワイトハート 発売日:2008/05/02 価格:630円(税込) |
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〜ひとりごと〜
無免許医×香港マフィア・次期香主候補
| 新宿歌舞伎町で、無免許医師でありながら開業している野瀬修哉(のせ しゅうや)は、恋人の劉 華勝(りゅう わせん)が襲撃されたと聞き、彼のいる香港へと飛ぶ。 しかし、華勝が襲撃されたのは、次期香主争いでのこと。 この時期に、修哉が香港を訪れるのは、華勝の敵にとっては、飛んで火に入る夏の虫のようなもの。 そんなことにさえ気づけず、香港に来てしまった修哉は、己の弱さを恥じるのだった。 だが、香港に来たのには、華勝を心配したこととは別に、もうひとつ理由あった。 それは、自身と華勝の今後について修哉が結論を出したからだ。 その結論とは、華勝と別れるというもので…… |
『
1週間前修哉は、香港にいる華勝が銃で撃たれて重体だというニュースを聞いたんです。
けど、華勝に紹介され、診療所を手伝ってくれている東洋医学の大家・宗や、診療所の入っているビルのオーナーで情報屋のメッシュに誤報だと聞かされはしました。
聞かされはしましたが、華勝と連絡が取れるまでは、不安で堪らなかったんです。
けど、彼が無事であることがわかっても、いてもたってもいられず、すぐ香港に立とうとしたんですよね。
でも、宗に冷静になれと諭されたんです。
と、いうのも『華勝が襲撃されたという情報は自分は聞いていない、確認もせずに香港まで行って、それが修哉を取り込んで華勝と取引しようという誰かのたくらみだったらどうするのだ』っていうことも、なきにしもあらずだったからです。
そう言われて修哉は、『華勝にとっていまや唯一の弱点』が自身であることを思い知らされたんです。
それでも華勝と電話で話し、あまりにも心配する修哉のことを笑う、皮肉っぽく倣岸な笑みを思い浮かべると『どうして、いま、側にして抱きしめあえないのか』と歯噛みしたんです。
結局そうできないのは、『愛する男にとって弱みにしかならない自分の立場』だからで、華勝の生きる世界において、あまりにも弱すぎる自身を、改めて突きつけられ、修哉は打ちのめされてしまいました。
でね、華勝は、どうしてこんな弱い自身を『愛人』(アイレン)と呼ぶのか?と、思い始めるんです。
そして、華勝が自身を『愛人』にしたのは、自分自身が強者だから、弱い者に惹かれるのだろうか?愚かで、間違いを犯してばかりいる修哉だからこそ惹かれたのか?など、後ろ向きな考えにばかり囚われてしまうんですよ。
やっぱりひとりで考えてると、どんどん悪い方向にいっちゃうじゃないですか?
修哉も、喧嘩も強くないし、銃を自在に操れるわけでもない、詐欺行為もできないし、パスポートの偽造もできないって、一般人ならできなくて当たり前なのに、それらのことをできない自身が劣っているように思えてくるんですよね〜。
『自分のいまの精神構造は、間違っている』って、理性ではわかっていても、気持ちが切り替えられなかったんです。
*中国でいう『愛人』は、かけがえのないただひとりの最愛の相手のことを指します。
宗に諭された結果、修哉は宗、シロ、クロと大所帯で香港にやってきました。
宗は、漢方薬など薬の知識に長けていて、また小さな体からは想像もつかない武芸の達人なんですよ。
そして、その好々爺然とした笑顔の裏にどれだけの飛び道具(裏の手)を隠し持っているのか、いまだ窺い知れないという人物です。
シロは、本人ですら正確な生い立ちも血縁もわかないという、複雑な生まれです。
宗が調べたところによると、ロシア女性と日本男性のハーフだろうということでした。
シロはね、癒し系なんですよ〜。
戸籍もないので、学校にも行ってないから、字が書けなかったりとか勉強の方もできませんし、言葉は拙いんですけど、その拙さにがストレートな言葉を紡いだり、人を良く見ていて、カンフル剤になれるんです。
また、邪気がないので、大型犬のように見えて、心を和ませてくれるんですよね〜。
現在は、宗と一緒に修哉の手伝いをしています。
クロは、修哉が診療所を構えるビルのオーナーで、裏ではかなり顔の知られた情報屋+人材の手配師・メッシュの部下で、ウィザード(魔術師)です。
ウィザードというのは、ハッカーのなかでも特別に美しい配列のプログラム組み立てられる人のことです。
で、このクロ。
メッシュと共に、かなりタチが悪いです。
自分たちの目的のためならば、例え友人であろうと、騙したんじゃない言わなかっただけと、平気で陥れることのできる人物です。
因みに今回彼が同行したのは、メッシュの命令で、修哉のお守りということになっています。
説明が長くなっちゃいましたが、こうした面々で香港にやってきました。
修哉が香港に来た、もうひとつの理由ですが、『
その約束とは、香港マフィア『新勝義』の次期香主候補で、幹部の華勝を付き合っていく以上、半端な気持ちのままでは互いのためにならないので、次に会う時までに、彼の『愛人』としての覚悟を決めるというものです。
けど、結論は出したものの、修哉の心は揺れていました。
だから、華勝に会うのをとっても恐れているんです。
華勝と再会した修哉ですが、彼の姿を一目見た途端、地面に足が張り付いてしまったかのように動けなくなってましたよ。
無事だったと聞いてるし、電話で話もしているけれど、華勝の姿を見たことで、本当の意味で安心したんですよね。
なので、動けないでいることを誤魔化すように、憎まれ口を叩いていました(笑)
けど、車の中でふたりっきりになった瞬間、それしか言葉がないかのように何度も「心配したんだ」と言ってましたから、相当参ってたんですよね。
一行は、華勝が予約したホテルに宿泊することになっていたんですけど、修哉ひとりだけ、彼の私邸に連れて行かれたんです(苦笑)
その理由は、「あの連中と同じホテルに宿泊して、俺がおまえを朝まで可愛がってもおまえが怒らないなら、戻ってもいい。」「ずっと俺の家にいろだなんて命じない。今度だけだ。国境超えて会いに来たついでに、それぞれにひとり寝で我慢比べして楽しいか?俺は嫌だな。いますぐ押し倒したいのを、おまえが嫌がるだろうからを我慢してるんだ。もう少し俺のことも思いやれ」だそうです(笑)
それともうひとつ、修哉が結論を出したから来たことも、わかってたんです。
華勝は、修哉に甘くせに、自身の足でしっかり立つことを求めたり、何もかもを奪うことができる圧倒的な力を持ちながら、最後の最後で修哉の意思を尊重するという愛し方なんですよね。
そんな華勝のことを修哉は、冷酷だと感じていたし、突き放されたと思い、見捨てられ、馬鹿にされたと恨んだりもしてたんです。
だけど、修哉は華勝といると何も考えられなくなる一方で、離れてしまうと、隣に立ちたいという強い気持ちと、いまのままではどうしても無理だという狭間で揺れ、ジレンマに陥ってしまうんです。
華勝の立場が立場ですからね。
修哉は、免許は持っていないとはいえ、医者なのに対し、華勝はその立場上、人を傷つけなければならない時もありますからね。
そんな華勝と付き合っていくということは、その矛盾とも付き合わねばならないですし、また華勝だけでなく、自身の命さえいつ奪われるとも限らない場所に身をおくことにもなりますから、簡単なことではないですよね。
そうやって、悩んでいる修哉ですが、自身にとって華勝という存在は、麻薬中毒者が薬を求めるように、彼の存在を求め、焦がれ続けている相手なんです。
けど、修哉が選んだのは、華勝との別れでした。
別れを告げられた華勝は、だからと言って修哉が自身を嫌ってのことではないとわかっているんです。
むしろ、自身を愛していることも。
だから、「おまえはずるい男が。ここでそんな台詞を言われたら、俺はおまえを俺の家に監禁して、二度と外に出したくなくなるだろう。――そんなことをしたらおまえにいずれ憎まれるのはわかっているのにな」なんて、そう思っていても絶対にしないことを口にしたりして、軽口叩いてました。
そういう口で、「俺はおまに愛されている、おまえはいつだって全身で俺のことを欲しがっている。違うか?」「別れようなんてくだらない提案だと思うが、どうしてそんなことを思いついたか聞くだけは、聞いてやる」と言うんです。
なので、修哉も「僕はあなたのためには、ならない。あなたにとって僕の存在は弱点でしかないし、あなたを動かすための手ごまとして、僕を誘拐して使おうと考える連中は、いままでもいたし、これからもいるんだろう」「本当ならあなたは僕を閉じ込めて、誰にも手が届かないぐらいに縛りつけて見張っていれば安心なんだろう。わかってる。でもあなたはそうしない。僕が望まないから、僕を閉じ込めない」「あなたは僕が自由に暮らしていても、僕を守ろうとするだろう。そのためにあなたはきっと無理をする。僕は、僕が僕らしく生きてゆくために、あなたが無事でいるのかどうか、ずっとはらはらして暮らすことになる。弱点でしかなくて、あなたに迷惑をかけることしかできないのに、あなたの愛人だなんてどうして胸を張って言える?」と、本音を漏らします。
けど、華勝もそんなことは百も承知なんですよね。
承知していても、修哉を手放せないから、全身全霊を込めて修哉を守ろうとしてるんですものね。
けど、やっぱりそう言われてしまえば、「おまえは俺の弱みにはなるが、それを迷惑だなんて俺は思わない」としか言えないですよね。
修哉にとっては、それが1番嫌で、自身が傷つくことなんですけどね。
そうやって自身の全てを許容する華勝だけに、おそらくここまでは言いたくなかったんじゃないかな〜と思うんですけど、「僕は無資格でも、医師だ。傷つけるのではなく、治療し、助けることが僕の本分だ。あなたとは違う。あなたはマフィアで、場合によっては敵を傷つけることも厭わない。僕はそんなあなたを側で見て、平気でいられる自身がない。あなたのためにならないうえに、きっとそのうち僕自身が勝手にひとりで不幸になっていく。僕はそういう弱くて愚かな人間だ。自分のことは自分がよくわかってる」とまで、言っちゃうんです。
そういいながらも、心のなかでは「離れたくない」と泣いているし、そんな自分の軟弱さにまた、嫌気をさしてしまうんですけどね。
そして、ある意味言いたい放題言われちゃった華勝ですが、「なるほど。たしかに修哉は馬鹿だな」とため息をつき、「少し冷静になってみろ。……別れてもいいが、それでも俺はおまえを愛するだろう」「俺はたやすい気持ちでおまえを愛人を呼んだりしない。俺がおまえに執着する限り、おまえが俺を見限っても、おまえは俺の弱点でありつづける。愛人から、元愛人になったとしても、誰かがおまえを使って俺を脅迫しようとするだろう。それを理由にして、別れようというなら、それはあまりにも意味のない行いだ」と、きっぱり言い切り、修哉に二の句をつげなくさせてました。
で、更に「香港まで来て、だだをこねてみせて楽しいか?そういうところも可愛いけどな。別れようってのが本音だなんて嘘を突き通すより、本気で思っていることを言ってみろ。別れたいというその理由はなんだ?」と問うんです。
修哉の方は、言葉に詰まってしまい、「理由なんて……いまは言ったじゃないですか」って言うんですけど、そこを「じゃあほかの理由と、本当の気持ちをいま考えろ。家についたら、あらためて聞いてやる」と言われてしまいました。
華勝は、修哉の考えを見抜いていたんですよね。
なので、修哉と共にあれる道を、整えようとしていたんです。
結局、修哉は自分勝手に煮詰まった挙句、またクロに嵌められて暴挙に出、トラブルメーカーぶりを遺憾なく発揮してしまいました。
お陰で、とんでもないことになってしまいましたよ(ため息)
華勝の弟・華炎(ワイム)も出てきます。
相変わらずのゴージャスさ、そして長袍姿にうっとりしてしまいました(笑)
お気づきの方もいらっしゃったかと思いますが、前巻で、華炎が尊敬し、慕っていた華勝に害を及ぼすようなことをした理由もわかりますよ!!
私は、冷酷な人だけど、根底にあるものがものだけに、やっぱり華炎が憎めなかったですよ。
なので、華勝の今後も気になりますし、彼のお話をめちゃめちゃ読みたいです!!
修哉が、華勝に言えずに隠した本当の思いとは?
華勝が、修哉と共にあるためにしようとしたこととは?
そして、『新勝義』の次期香主候補争いの行方は?
勝手にまだまだ続くシリーズだと思っていたので、急展開にちょっとビックリしました(←あらすじに書いてあるのにね〜 笑)
こうなるしかなかったんでしょうけど、やっぱり残念だな〜という思いは大きいです。
そして、修哉や華勝のことは置いておくとして、言いたいことがひとつ、メッシュ、クロ、ふざけんなよ!!お前らタチ悪すぎだ!!です(笑)
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