タイトル:蛇恋の禊 (岐柳組シリーズ 3) 著者:沙野風結子 イラスト:奈良千春 発行:幻冬舎コミックス レーベル:リンクスロマンス 発売日:2008/4/30 価格:898円(税込) |
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〜ひとりごと〜
美大生(若頭)×若頭補佐
| 円城凪斗(えんじょう なぎと)が、岐柳(きりゅう)組四代目を継ぐと宣言してから5ヶ月。 2ヵ月後には、『代目襲名式』を控えていた、そんな折、関西の旗島(きじま)会と熾津(おきつ)組の間がきな臭くなっており、岐柳組は、その飛び火を懸念していた。 また、破門された腹違いの兄で、元若頭の辰久と、当時の若頭補佐・数井の動向、更には、凪斗を頼りなく思う者たちの反乱の兆しもあったのだ。 それらを押さえ、渡世に名を刻むため、組長から最近まで揉めていた組の手打杯の仲裁人を命じられる。 あまりの大役に、慄く凪斗と心配する恋人で現若頭補佐の角能。 だが、組長に一喝され、改めて自身の背負ったものの大きさを思い知らされる凪斗だった。 そうして迎えた『手打杯の儀』だったが、以前より懸念していた心配が表面化し、儀式の最中に襲撃を受け…… |
f-LAPISより発売された『
今回は、『
そして、相変わらずハードなお話でした……
凪斗は、岐柳組組長・岐柳久禎(ひさよし)の愛人の子なんですね。
けれど、極道の血は災いを呼ぶ忌まわしいものだと、母により、岐柳組とは全く関係のないところで育ったんですよ。
そうして、美大で日本画を学んでいた凪斗だったんですが、日展に入選した作品を見た久禎に妖しい資質を見出され、元警視庁のSPだった角能を使い、拉致監禁されてしまったんです。
で、紆余曲折を得て、角能を手に入れるために、凪斗は四代目を継ぐ決意をしました(←思いっきり省いちゃいました)
と、いうのが前作までのお話です。
今作は、岐柳組四代目を継ぐと宣言してから、5ヵ月後。
『代目襲名式』を、2ヵ月後に控えた時期からのお話です。
凪斗は、角能によって極道の血を覚醒させられはしたんですが、多重人格者みたいに『円城凪斗』と『岐柳凪斗』のふたつの顔を使いわけてたんです。
使い分けてるっていっても、若頭『岐柳凪斗』にならなければならない時には、勝手に出てくるって感じですけど。
それでも、自身の中で『岐柳凪斗』というもうひとりの存在が、確実に育っているように感じていました。
関西の旗島会と熾津組が、一触即発の状態に陥ってたんです。
で、旗島会の会長・旗島と久禎は、五分の杯を交わした盟友なので、こちらにも飛び火するんじゃないかと、角能は警戒を強めていたんです。
そんな時旗島から、ここしばらく揉めていた旗島会系の三沢組と、岐柳組とも縁のある古賀組が和解することになり、その手打盃の仲裁人を凪斗に頼みたいと言われたんです。
仲裁は、下手をすれば組同士の間が更にこじれることになるので、難しいらしいんです。
なので、凪斗は「そんな重大なこと、俺なんかが――」って、躊躇するんですよ。
久禎は、「不手際でもあろうもんなら、血の雨が降る」と、凪斗が躊躇する気持ちを理解しながらも、「俺なんかが」と言ったことは気に入らず、「おまえは二ヶ月後には岐柳組四代目になる。だがな、いまの若頭ってのだって、お嬢さんの腰掛けじゃねぇんだ。岐柳組若頭としてきっちり裁きをつけて、渡世に名を刻んでこい」と睨むんですよね。
久禎に睨まれ、背筋のまんなかを冷たい汗が伝い落ち、身動きもできずにいる凪斗に代わって、角能が「たしかに若頭は、そろそろ渡世に名を知らしめる必要があります。しかし、段階を順に踏まなければ、いたずらに潰すことになりかねません。今回は桜沢さん(久禎の片腕)に無理をお願いできはしませんか」と、差し出がましいことを、と前置きした上で意見するんですよ。
でもね、「角能、極道ってのは青信号をお手々引かれて渡って育つもんじゃねぇ。追い詰められたどん底で本気になって、てめぇの剥き出しの魂を相手の魂に叩き込むことでしか、育たねぇ。そしてそれが、この世界で通用する絶対の説得力ってぇもんだ」と、一喝され、何も言えなくなってしまうんです。
凪斗も、久禎の言葉で、今回のこのことが、後継者としてのテストなんて、そんな生ぬるい次元のことではないことを理解しました。
手打をすることになった組は、極道として折れない意地を折って望むんですから、万が一にでも失敗したら、双方の組の恨みを凪斗が一身に受けることになりますからね。
そしてそうなれば、命の保障はありません。
なので、全ての責任を、自身のものとして負わねばならない手打盃の仲裁人は、とても大変なことなんです。
シャンとしないと食われると、久禎の前で気を張り続けてた凪斗は、部屋から辞した途端、緊張の糸がぶつりと切れふらついたんですよ。
けど、それを角能が支えてくれたんですね。
で、『頼もしい手が肉体を抜けて、魂までも支えてくれるように感じ』て、頼もしく思ったんです。
そして迎えた手打盃の儀。
『岐柳凪斗』へと、完全にスイッチも入り、上手くいってたんですよ。
凪斗を侮っていた人たちのそういった空気も、払拭されましたしね。
で、後は和解状を読み上げて終わりという段になった時、会場内に銃や匕首を持った者たちが、乱入してきたんです。
凪斗も角能に叩き込まれた体術で、乱入者を倒し押さえ込んでたんですけど、その男の発した言葉が関西弁だったことで、乱入者たちの素性に気を取られてしまったんです。
その隙を狙われ、匕首を持った乱入者のひとりが自身に突っ込んできてたんです。
気づいた時には既に遅く、1メートルの距離にまで迫っていました。
けど、気づいた角能が凪斗の方を掴み後ろに引いてくれたお陰で、自身に怪我はなかったんですけど、その代わり彼の手の甲にはざっくりと匕首が突き刺さっていました。
角能の怪我に動転してしまった凪斗は、『円城凪斗』に戻りかけていたんです。
でも、「綺麗にまとまった儀式より、これだけの波乱を呑み込んで誓われるもののほうが、心に刻まれる。この機を逃すな」と彼に言われ、腹を括り続けました。
そうして、最後まで行ったことで、凪斗は『岐柳凪斗は年こそ足りないが、なるほどあの岐柳の大蛇の血を受け継いだ、なかなか見所のある人物のようだ』、角能は『主を守って匕首に手を貫かれたまま最後まで列席した補佐役の角能尭秋という男も、いまどき少ない漢ぶり』と評価が上がったんです。
なので、『いたずらに軽んじるのは控えて、ここはひとつ様子を見るべきだ』と、岐柳組後継者としての資質を疑っていた人たちも、凪斗を見直したんです。
これで関西の旗島会と熾津組の諍いに完全に巻き込まれていることが明らかになりましたよね。
その他にも、凪斗が後継者になったことに不満を抱くものたちの組内部の反乱や、昨年の夏まで、岐柳組若頭を務めていた、凪斗の腹違いの兄・辰久と、その補佐を務めていた数井の同行も、角能は心配していました。
辰久は正妻の子で、本当なら彼が岐柳組を継ぐはずだったんですよ。
けれど、数年前から、薬物中毒状態で、とても組を任せられる状態ではなかったんです。
なので、破門されたんです。
その時、辰久の補佐(若頭補佐)をしていた数井も一緒に破門されました。
そんな辰久の恨みは相当のもので、凪斗が通う大学の前で、数井と共にいるところを、角能に目撃されたりしてたんですよ。
それに、数井はかなりのキレ者らしいんですね。
そんな数井が、破門された辰久と未だに行動を共にしていることが、角能の危機感を煽っているんです。
凪斗の襲名も近いですからね。
だから、角能は一層警戒しているんですよ。
凪斗は、組長就任に備えて、武術などだけでなく、岐柳組のフロント企業のことも把握しておかねばならないので、色々と勉強しているんです。
けど、あの手打盃の儀依頼、角能様子がおかしいんです。
以前は、3日に1度は凪斗が嫌がろうがなんだろうが、抱いていたのに、一切手を出してこなくなりましたし、自身に対する態度も「ガキのお遊びが通用する世界じゃない。普段からもっとシャンとして、周りを安心されてくれ」と、言ったりして厳しくなったんです。
そんな角能を見て、凪斗は不安になるんです。
角能は、『岐柳凪斗』だけでなく、ごく平凡な大学生の『円城凪斗』も愛してくれていたのに、もう『円城凪斗』はいらないと思っているんじゃないだろうか?って。
そんな不安に苛まれている時、凪斗の心を壊してしまうような出来事が、起こってしまいました。
更に、熾津組が持っているホテルで辰久と数井の姿を目撃したという情報も入ってきて、一気に事が動き始めます。
関西の組の抗争に巻き込まれた岐柳組は?
凪斗の心を壊してしまうような出来事とは?
そして、突然冷たくなった角能の真意は?
『
私も、ゲゲッて思いましたが、いつもよりは冷静でいられたかな。
まぁ、このシリーズだけに、そういうこともあるだろうなぁと覚悟していたからかもしれませんけどね(苦笑)
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