2008年04月26日

【密約の花嫁】
 須坂 蒼 ill:あじみね朔生


mituyakunohanayome_b.gif
タイトル:密約の花嫁
著者:須坂 蒼
イラスト:あじみね朔生
発行:ムービック
レーベル:GENKI NOVELS
発売日:2007/09/29
価格:900円(税込)

*画像clickで拡大画像が見れます。

 amazon.gif      
     


 kouhyou_story.gif

〜ひとりごと〜
 高校3年生×数学教師

 平安時代から続く祈祷師の一族の末裔、入江美波(いりえ みなみ)は、儀式の際、神を惹きつけ『祈祷の場に降りていただく』ための舞い手を努めている。
 しかし、時代と共に依頼人は減り、入江家は没落の一途を辿っていたのだった。
 この日美波は、天敵の数学教師・桐ヶ谷 慶(きりがや けい)から、問いを解けなかったため『特別時間外講習』を言い渡された。
 美波は、成績は悪くない方なのだが、唯一数学だけは苦手で、いつも赤点以下、『特別時間外講習』を受けるのも中学の時から数えて通算100回目だったのだ。
 そうして、落ち込む美波だが、今日は唯一の祈祷の依頼人、日本有数の資産家・鷹森グループの仕事が入っていた。
 気持ちを切り替え舞おうとした美波だったのだが、何故か鷹森グループの人たちの中に、慶がいたのだ。
 そのことに動揺してしまい、すっかり舞が乱れてしまった美波は、その場で母から叱責され、舞手をやめろと言われてしまう。
 だが、舞手として誇りをもっていた美波は、母の言葉に絶句する。
 しかし、母の言葉に意義を唱える者がいた。
 それは何と、こうなることになった元凶の慶で、その上、「入江美波を妻として娶るために、ここへ参りました」と、理解の範疇を超えることまで言うのだ。
 意味がわからない美波は、立ち去った慶を追いかけ、意味を問いただすのだが、こういう意味だとキスされたばかりか、体まで奪われ・・・



 勝気な高校3年生と、完璧主義者な眼鏡の数学教師(推定30歳)の年の差カップルのお話です。


                    sakura_ani.gif


 美波は、数学=悪魔の学問って言い切っちゃうくらい、嫌いで苦手なんですよ。
 数字を見ているだけで眠くなちゃって、授業中もしょっちゅう居眠りしているみたいなんですね。
 なので、成績も低空飛行、そして中学の時から『特別時間外講習』を受けさせられた数を通算すると、100回目を迎えるというくらいだったんです。
 けど、今回美波が『特別時間外講習』を命じられることになったのは、数学の得意な人でも、解けないような問題が解けなかったからなんです。
 そのことを知った美波は、自身だけ『特別時間外講習』なんて不公平だって、抗議に行くんですよ。
 なのに、数学教師の慶は、「そうか。だとしたら、確かに不公平かもしれない」「きみにだけ、特別な学びの機会を与えてしまったのだからな。その点では、他の生徒にすまないことをしてしまった」って、美波の抗議を逆手に取ったんですよね。
 そればかりか、「しかし、他の生徒も理解してくれるだろう。何しろ、きみの凄まじい数学力の低さは、周知の事実。きみを特別扱いしても、なんの不思議もない。これは不公平ではなくて、当然の処置だ」とまで、理詰めで言われてしまうんです。
 これには、美波の勢いも萎れてしまいましたよ、一瞬でしたけど(苦笑)

 『特別時間外講習』を言い渡された生徒は、名前を張り出されるんですね。
 なので、100回も受けている美波の数学力は、全校生徒が知っていることなんですよね。
 だから美波、慶の言葉にぐうの音も出なかったんです。

 それでも、往生際悪く、何とか回避しようとするんですけど、テストの点や居眠りしていること、更には自宅で勉強をしている形跡すらない(←置き勉してるのバレてます)と挙げられ、「あらゆる点から考慮して、きみに同情の余地はない」って、トドメを刺されてしまったんです。
 しかも、「せめて『どこがわからないか』くらいは、わかるようにして、臨んで欲しいものだな。といっても、無理な話か」とまで言われちゃって、もう凍りつくことしかできませんでしたよ(苦笑)
 暫くして、我に返ってから、「あの悪魔・・・っ」って、心の中で、毒づいてましたけどね(苦笑)


 だから、美波確信してました。
 『慶はやっぱり、教師の姿をした悪魔だったようだ』って。
 なので、『美波をいたぶる術を、ちゃんと心得ている。慶に抗議しようとしたのが、間違っていた。美波の言葉など、入り込むスキもない。完璧な鉄の壁。当たれば、100倍になって跳ね返ってくる』と、ため息でした。
 何せ、『特別時間外講習』もハンパないくらい厳しいらしいですしね。

 うん、元々美波が太刀打ちできるような相手ではなかったんですよね〜(苦笑)


 そうして、『特別時間外講習』を言い渡され、落ち込んだ美波でしたが、今日は大切な日だったので、何とか浮上しようと試みるんです。
 けど、この日は美波にとって厄日みたいでした。

 美波の家は、平安時代から続く祈祷師の一族なんですね。
 その昔は、祈祷師の言葉の影響力が大きく、時には政治を左右することすらあったらしいんです。
 けれど、戦後の混乱の中、依頼主だった権力者たちの家が次々と解体されたり、財産を没収されたりで、力を失って行き、それはそのまま入江家が依頼主を失うことに繋がっていったんです。
 そして現在は、日本有数の資産家、鷹森グループが唯一の依頼主という状態で、貧困に喘いでいるような状況です。

 美波は、祈祷師ではなく、祖先の神を惹きつけ「祈祷の場に降りていただく」ための舞を捧げる舞手です。
 何でも、『祈祷師の素質はない』と、幼い頃にはっきり断じられたそうなんですけど、舞に関しては天賦の才を持っていたんですって。


 意識を『特別時間外講習』や慶に奪われがちになりながらも、装束を身に纏い、『儀式』に臨んだ美波でしたが、舞に使用する鼓の音で払われた雑念が、視界に入った慶のせいで、動揺させられてしまうんです。
 そしてそれは、美波の集中を途切れさせてしまったんです。、
 更に、視線があった慶の『射るような、鋭い瞳・・・。その瞳に、身体の奥まで突き刺されたような気』がし、美波の舞は乱れ、散々なものにしてしまったんですよね。
 そこまで、美波を動揺させたのは、鷹森グループの一族しかいないはずのこの場に、慶がいたからです。

 そして、後半はもう舞とは言えず、ただ手足を動かしているものになってしまい、『目を覚まそうと、懸命にもがいて、手足をばたつかせて、でも全然起きることができない』って、とびきりの悪夢の中にいるような気がしてしまったんです。

 そんな時間の中、ようやく舞終えた美波でしたが、やっぱりというか、観ていた鷹森グループの面々もおかしいと思ったらしく、いつもなら感嘆のため息が聞こえてくるはずが、ヒソヒソと囁き声が聞こえてきたんです。
 美波自身もこんな酷い舞を舞ったのは生まれて初めてですし、こんな状態で母は祈祷を行えるのか、万が一失敗して、唯一の依頼人・鷹森グループまで失ったらと、自身を責めるんです。

 案の定、母は激怒し、「今日を限りに舞手をやめなさい」と言われてしまうんです。
 舞を取り上げられたくない美波は、考え直してもらおうと、言葉を捜しました。
 けど、「金輪際、入江家の儀式には一切関わってはなりません。いいですね」と言い渡されてしまいました。
 でもね、ここまで厳しく言ったのは、息子を案じた母の愛情だったんですよね。

 しかし、この会話を「お待ちください、祈祷師殿」と、慶が遮ったんです。
 いきなり割り込んできた慶に驚く美波を他所に、自身の隣に座った彼は、「失礼ながら、それでは私どもの約束と違う」と言い出しました。
 慶の言葉に対し、ギクリしたような顔をした母を見た美波は、不穏な胸のざわめきを感じ、また母の態度がおかしいことで、何か隠しているだろうことに気づいたんです。
 で、「しかし、お約束はお約束ですから」という、慶の言葉の意味がわからないながらも、手遅れになると本能で感じ、彼の言葉を遮ろうと思うんです。

 けれど、一歩遅くて、「祈祷師殿。私は今日、入江家の舞手・入江美波を妻として娶るために、ここへ参りました。勝手にクビにされては、困る」と、言わせてしまいました。
 慶の顔を見た美波は、彼がとても嘘を言っているとは思えず、また、普段は毅然としている母の狼狽ぶりが、これが現実だと言っているのと同じだったんです。
 でも、自身は男、だから、美波は理解できなかったんですよね。

 母の「・・・代わりの舞手を、一族の中から新たに選出しましょう。あなたには、それを与えます。つまりは、舞手であればいいのでしょう?」という言葉を、完璧主義者の慶が聞き入れることはなく「違いますね。その解釈は、完璧ではない」「我が父の遺言が、指しているのは、入江美波ただ一人。これが完璧な答えだ。本当は、祈祷師殿もおわかりでしょう」と返すんです。
 いくら相手が大事な依頼人だとは言え、息子を男の嫁になどできないと、「美波が男であることを、失念してらしたのです」と、何とか思いとどまらせようとしますが、「正気でなかった、と?父を愚弄なさるおつもりですか」と、話は平行線なんですよね。
 放っておかれた美波は、母と慶の話を黙って聞いていましたが、話が自身のことだけに「あの!さっきから何の話をしているんですか?」と、問うたんです。
 美波は、何も知らなかったんですよね。

 要するに、鷹森グループのトップだった慶の父が、入江家の舞手つまり、美波を妻に迎えた者に全てを譲るという遺言を残したんですよ。
 けれど、年の離れた兄達は既に妻帯者、なので末っ子の慶が、美波を妻に貰うと、今日来たということです。

 でも、実は慶、後妻の息子なんですよ。
 なので、腹違いの兄たちは、慶のことを正式な息子とは認めていず、後継者問題で大揉めに揉めていているんですよね。
 だから今まで慶が、この場に来たことがなかったんです。

 そして、母と慶、それに美波まで参加し、めちゃくちゃになってるとこに、更に鷹森の親族までが、慶を罵るようなことを言い出して、収集が付かなくなってしまったんですよね。
 で、日を改めることになったのですが、美波はまだ納得できなくて、帰ろうとする慶を追いかけたんです。
 けど、ただ「わからない」と繰り返す美波に、このままでは平行線だと、自身の部屋で話すことになったんです。
 慶の生い立ちなどを聞かされたまでは良かったんですが、その後また「何度も言ってるはずだ。きみをもらいに来たのだと」戻ったところで、また美波はわからないって言うんですよね。
 さすがに、業を煮やした慶は、美波にキスをして、「こういう意味だ」と言ったんですよ。

 うん、慶の気持ちわかりますよ。
 何が、わからないのか、こっちもさっぱりわからないですもの。
 男の自分がどうして妻にならなければならないのか理解できないっていうことを言ってるんだと思うんですけど、「わからない」「わからない」だけじゃあ、こっちもわからないですものね〜。
 実際、「どこがわからないかくらい、わかるようにしておけと、今日きみに言ったはずだが」と、『特別時間外講習』を言い渡された時のことを持ち出されて、慶に叱られてましたしね(苦笑)


 で、キスされてもまだ、「…こういう、いみ…?」と、問う美波に、遺言のことを説明したんです。
 そこまで説明されて、やっと理解はできましたが、納得できなくて反論するんですよね。
 「大切なのは、ただ一点。『妻』という表現が使われていたことだけだ。それが、残された者たちにとっては絶対の意味を持った」って、再びキスされたんです。

 美波にとっては、そんな遺言関係ないし、めちゃめちゃ勝手な理由ですよね。
 最初のキスでは、何が起きてるのかわからなくて、硬直していた美波でしたが、さすがに2回目ともなると、抵抗しました。
 そして、「離してください…!何の冗談のですか…って!?」って、怒るんですよね。
 けど、「これから、きみを私の妻にする」って、舞手の装束の下に手を伸ばしてきたんです。
 当然、抵抗し続ける美波に慶は「入江家の経済状況が逼迫しているということは、きみもしっているだろう」「私の兄たちは、入江家から手を引くつもりのようだ。非科学的な力に、金と時間を注ぎ込むのはバカげてる、と」「私は、そんなつもりはない。もっとも、きみの態度によっては、だが」って、脅してきたんです。

 入江家、鷹森グループに手を引かれたら、路頭に迷ってしまいかねないですよね。
 それに、美波が通っている学校も鷹森グループの傘下ですし、また名家の子弟が通う学校だけに、おそらく学費もお高いんだと思います。
 なので、退学も余儀なくされてしまいますものね。
 脅迫されたも同然ですよね。

 でも美波、最後の抵抗とばかりに、「…だって、先生はいいんですかっ…!?先生だって、ほかの誰とも結婚できなくなるじゃないですか…。自分の好きじゃない相手と、結婚…できるんですか」「僕だったら、好きな人としたい…先生はいきなり、男の僕と…結婚なんて、ヤじゃないんですか…?」って、言い募るんです。
 しかし、「結婚は、単なる手段だ。よけいな感情など必要ない」って、一刀両断されてしまうんです。
 結婚は手段だといわれて、美波、唖然としてましたよ。

 けど、慶にとっては、美波を妻にすることは、大事なことなんです。
 だって、後妻とは言え、両親は結婚してるわけでしょう?
 なのに、愛人の子扱いで、父が存命している時から、冷遇されて育ったんですよね。
 入江家で行われる儀式に、今まで1度も参加してなかったのも、そのひとつですから。
 だから、慶が鷹森グループの全てを手に入れることは、復讐であり、何よりも大事なことなんです。

 なので平気で、「それを混同するから、兄たちは父の跡を継げなかった。早々に離婚して、妻を愛人にでもしておけばいいだけのことを。愚かだな。」って言ってしまえるんです。
 そして、結婚は鷹森グループを手に入れるための手段だからこそ、「きみの性別など、取るに足らないことだな。この結婚は、私にとって僥倖だ。目障りな兄たちを抑えて、正式な跡継ぎの地位を得られるのだからな」と、言うんです。

 そんな慶の言い分に『美波の意思なんて存在しないかのように、美波の何も知らないところで、全部勝手に決めて、自分の意思を押しつけてくる。思いやりも、やさしさのかけらもない、冷血漢。しかも、自分の言いなりにならないと、脅迫してくるなんて』って、「やっぱり…悪魔だ…!」と、心の中で慶を罵ってました。

 更にね、「僕は、あなたの妻なんかにならないから…絶対」という美波に、「それは私が決めることだ。きみではない」「不要になれば、いつでも捨ててやる。それまで待つことだな」ですって。
 酷いですよね〜。
 けど、この慶の言葉の裏には、他の意味にもあったんです。



 自身の意思を無視され、妻にされた美波は?
 慶の言葉の裏にあるものとは?
 そして、ふたりの結婚は?




                    sakura_ani.gif




〜妻の心得と主人の義務〜

 「私は何事も、完璧でないと気が済まないタチなんだ。妻にする以上、きみには妻の役割を果たしてもらわねばならない。完璧に」

 「美波…私は、きみの主人になる。今日から、きみのすべては、髪の毛一本に至るまで、私の所有物だ。私の言うことには、妻として従順に従うことを求める、わかるな?」

 「主人として、きみを教育する必要がある」

 「朝食は、きみが作る。それが、妻たる者の役目だ」

 「きみが決める問題ではない。私が『作れ』と命じている。きみは主人の命令が聞けないのか?」

 「もっと従順になったらどうだ、妻として」
 「…先生こそ、主人っていうなら、もっと…優しくなったらどうですか…?」
 「勘違いするな。私は確かに主人だが、きみを愛しているわけではない。優しくしろとは、おかしな話だ」
 「きみにも、愛など求めていない。求めているのは、ただ従順であることのみ。理解したか」

 「どうにも手癖の悪いネコだ。しつけが必要だな」

 「きみに拒否する権利はない。必要なのは、従うことだけだ」


 

osusumedo_ani.gifpenguin_ani.gif196.gif196.gif196.gif196.gif



小説xxxxx453作品 コミックxxxxx189作品 UP中


この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。