2008年02月19日

【アラビアン・ルビー 〜紅鳥は夜に舞う〜】
 若狭 萠 ill:汞 りょう


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タイトル:アラビアン・ルビー
      〜紅鳥は夜に舞う〜

著者:若狭 萠
イラスト:汞 りょう
発行:プランタン出版
レーベル:プラチナ文庫
発売日:2008/2/12
価格:580円(税込)

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〜ひとりごと〜
 踊り子×王弟

 砂漠に落ちた宝石と言われる国、ジャイロの王都・イティナの場末、『月光亭』という娼館兼酒場で踊り子をしているアイリンは、ある日訪れた身なりの良い客に目を奪われる。
 そしてその男の視線も、アイリンから外されることなく、自身へと向けられていることに引き込まれるような錯覚を覚えた。
 そればかりか、娼婦の誘いにも一切乗ることがなく、視線が自身の下へと注がれることにも、妙な安堵感を覚えるのだった。
 そんな男の視線に意識も奪われ、いつも通りの踊りができないことに苛立ったアイリンは、振り付けを無視し、舞台から降り、彼を挑発するような踊りをしてしまったのだ。
 男の動揺をみて、アイリンは溜飲を下げたのだが、それは一瞬のことで、ふいを突かれる形で唇を奪われてしまった。
 それから半月、『月光亭』の女将から娼館の方の仕事をして欲しいと頼まれる。
 踊り子をしていた母が幼い頃に亡くなって以来、自身を育ててくれた大恩ある女将の頼みに断れなくなってしまい、承諾してしまったアイリン。
 そして、男娼として初めて店に出た日、以外な人物が客として訪れた。
 それは、アイリンの初めての口づけを奪った男だ。
 しかも、その男は、アイリンを買い取りたいと言ってきて…



 16歳と全てにおいて、まだ初心なアイリンと、王の異母弟で、その身分の高さから命令しなれているためか、言葉が足りず、誤解を与えてしまったギルスのすれ違いのお話でした。
 タイトルにもある通り、アラビアンテイストです。


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 アイリンは、母親を10歳の時に亡くし、また父のことは一切教えてもらなかったので、どんな人物なのか知らないんですね。
 で、母親が踊り子として働いていた場末の娼館兼酒場『月光亭』で、自身も踊り子として働くんです。

 ある日、アイリンのステージ中に、一目で上客だとわかる身なりの良い客がきたんですよ。
 その男が、マスクをしていたにも関わらず、アイリンは何故か彼と目が合った瞬間、胸が大きく脈打ち、胸を射抜かれたような気がしたんですよね。
 しかも、目が逸らせずにいたアイリンに、男が微笑んだもんだから、踊っているのとは違う胸の高鳴りを感じて、狼狽えてしまうんです。
 でも、ステージで踊っている最中でしょう?、なので辞めるわけにもいかず、かと言って男から目を逸らすこともできずに、ただ見つめながら踊るしかなかったんですよね。

 そうこうする内に、店の給仕兼娼婦たちも彼の存在に気づき、順番に粉をかけ始めたんですよ。
 でも、男は、彼女たちに目もくれなかったんですよね。
 なので、それをステージ上から見ていたアイリンは、男の視線が自身から逸らされなかったことに安堵感を芽生えさせてたんです。
 そして、その安堵感と同じくらい強く『男は自分に会うためだけにこの店に来た』っていう確信を抱いたんですよ。

 でもね、今までどんな客に対しても意識をしたことのなかったアイリンは、見つめられるだけで体がジリジリと熱くなり、踊りが疎かになってしまうようなことがなかっただけに、だんだんと苛立ちを感じるようになるんですよ。
 それでも、男を無視することができずに、意識して踊っていて、他の客にまで気づかれるほどだったんです。
 ただ、そのことにアイリン自身は気づいてなかったもんだから、自身だけを見つめる男への疑問が最高潮に達した時、舞台を降り、男の目の前で理由を問うかのように踊ってたんです。
 けれど、当然というか、男からの答えはなく、ただアイリンを見つめるだけなんですよね。
 それに、男の浮かべている微笑みが余裕に見えたんでしょうね、まるで、自身の鼓動が男のせいで跳ね上がっていることまで、見透かされてるような気持ちになったアイリンは、『自分だけがこんなに掻き乱されるのは不公平だ。自分だけじゃなくてこの男も少しは動揺させたい』って、対抗意識すら芽生えさせちゃって、男の首筋に腕を絡め、胸元に寄り添うようにしなだれかかったんですよね。
 また、ちょうどそこで音楽が止まったもんだから、口づける寸前のようになってしまったんです。

 普段はね、お客さんが踊り子のアイリンに触れることは一切許されなかったし、自身から触れることなどしたこともなかったんです。
 だから、大胆なことしちゃったなと、やり過ぎたという思いがあったんですよ。

 でも、でもですよ。
 そんなアイリンに、男はいきなり口づけてきたんですよ、しかも、ベロちゅーを(笑)
 予想外の出来事に、一瞬何をされてるのかわからなかったアイリンですが、されてることに気づいた途端、恥ずかしさが込み上げてきて、平手打ちをお見舞いしちゃったんです。
 で、アイリンが叩いた拍子に、男のマスクが取れちゃったんですよね。
 アイリン、現れた男の素顔に、キスされたことも叩いたことも忘れて、見惚れてましたよ〜(苦笑)

 で、「ずいぶん気が強いんだな」と言われ、我に返ったんですけど、男が店に来てからの間に起こったこと全ての動揺がどこかに残ってたんでしょうね。
 叩いたことに関しては悪いと思っていても、キスしてきたのを詫びるのが先だ!とか思っちゃって、怒りをぶつけちゃうんですよ。
 はい、完全に相手がお客さんだってこと忘れてます(笑)
 けど、男に「そちらが誘ってきたのではないか」と返されて、益々冷静になれなくなったアイリンは「(キスが)初めてだったんだから……」って、つい口を滑らせちゃうんですよ。
 結果、男を喜ばせただけになってしまったアイリンは、また男に手を振り上げるんですよ。
 しかし、2度目は上手くいかず、振り上げた手を捕まれたばかりか、唇をなぞられてしまって、もう癇癪起こしたみたいになって、店の奥に逃げ込みました。

 そこで、散々悪態をついてたアイリンですが、店の女将のサミーラに声を掛けられ、やっと冷静になれたみたいで、自身の態度がお客さんに対するものではなかったことに気づいて、謝ろうとするんですよ。
 でも、もう男は帰ってしまった後だったんですよね。
 なので、そのことにアイリンは、失望を覚えてしまいました。


 それから、半月経っても、アイリンが男のことを忘れられず、つい店の中に男の姿を探してしまっていたある日、サミーラから想像もしていなかったことを言われてしまいます。
 実はサミーラ、全財産を騙し取られ、このままでは店も畳まなきゃならないような状況に追い込まれてたんですよね。
 なので、今まではアイリンを買いたいと言ってきた客を断ってきていたんですが、人気があるのはわかってましたから、起死回生のために男娼になって欲しいと頼んできたんです。
 始めは自分は踊り子だからって、断ったんですけど、サミーラの事情を聞かされたら断れなくなってしまったんですよ。
 なんせ、身寄りのなくなったアイリンをそのまま店に置いてくれ、踊り子として仕事はしてましたが、一応育ててもらったという恩がありますからね。
 だから、踊り子は続けさせてもらうことを条件に、男娼になる覚悟を決めます

 サミーラ、決してアイリンを男娼にするために育てたんじゃない、今までは客も断ってたと言ってましたが、そのつもりはなくても自身のためにそんなことを頼んだら、同じですよね。
 そこまで、アイリンのことを思ってるっていうなら、店畳めばいいだけの話ですからね。
 結局は、自分かわいさに子供を売るような真似した以上、何を言っても偽善者としてしか見れませんよ。
 なので、サミーラにかなりムカつきました。


 そして、アイリンが男娼として店に出る日、以外な人物が『月光亭』を訪ねてきたんです。
 それは、アイリンのファーストキスを奪ったマスクの男でした。

 サミーラも困惑状態で、アイリンを呼びにきたんですね。
 何故なら、この先もずっとアイリンを買いたいと、信じられないような高値を提示してきたからなんですよね。
 けれど、『この先もずっと』というのは、店でのことではなくて、『買い取りたい』つまり、身請けしたいってことだったんですよ。
 さすがにこれには、サミーラもアイリンも驚きました。
 特に、アイリンは相手が、あの忘れられなかった人物でしょう、なので、驚き通り越して訝しんでましたよ(苦笑)

 でね、『買い取りたい』って、男の言葉に早速サミーラがごねます。
 「この子を連れて行かれたんじゃうちが困る。この子はうちの商品なんだから」ですって。
 それを聞いた男は、相場がわかってないもんだから、「先ほどの金額が今宵の分だというなら、この子を買い取るには何倍の金を出せばいいんだ?言ってみろ」って、言うんですよ。
 そしたらね、
 サミーラ:「言ってみろ……いくら金を積まれても素性の分からない方にこの子は預けられませんよ。この子のことは母親から面倒を見るように言われたんだから。下手なことさせたら申し訳が立ちません」
 男:   「ほう……では面倒を見るように言われた子に客を取らせるのは、その親に申し訳ないと思わないのか?そもそも客の素性など金を払えば気にすることなどないだろうに」

 って、反論されるんですよ。

 サミーラに関しては、完全に悪感情しか抱いてませんでしたから、そうそう、それそれ!!誰が見ても矛盾感じるよね!って、男の言葉を聞いて拍手しそうでしたよ(笑)

 さて、揚げ足を取られ、ぐうの音もでなくなったサミーラを黙ってみていられなかったのは、アイリンでした。
 若いから正義感一杯なんですね、きっと。
 傍から見てると、ただのお人よしなんですけどね(←オイオイ)
 「この店の問題だ。アンタに口出しする権利はない」って、言うんですよ。
 アイリンにそう言われてしまった男は、マスクを外し、正体を明かしました。

 なんと男の正体は、国王の異母弟のギルス・シャンドラで、最も王からの信頼が篤いと言われている家臣だったんです。

 ジャイロでは、正室の子であろうが、側室の子であろうが、王の子として生まれた第一子が王位継承権を持つんですよ。
 そして、諍いを避けるため、その他の王の子たちには王位継承権は与えられず、臣籍を賜り、臣下として王に仕えることになっているんですよね。
 そして、ギルスは側室の子ではありましたが、王との関係は良好で、王軍の指揮官としてもその名を馳せていて、軍神という異名まで持っているんです。
 なので、国内だけでなく、周辺国にまで知られていて、一番有名な家臣と言っても過言ではない人物だったんです。

 そんな人物が、場末の娼館に来て、しかも男娼を欲しいっていうんですから、サミーラなんて、失神寸前ですよ(笑)
 で、そんな人物がアイリンを欲しいという真意がわからず、「信じられない」と繰り返すサミーラに、「お前が信じずとも構わない。だが、今宵私はこの子を連れ帰る。で、どうすればいいのだ?幾ら払えばこの子を連れ帰ることが出来る?」と、話が一向に進展しないので、かなり苛立ちを感じているようでした。
 
 結局、サミーラも王族相手では、もう素性がどうのとも言えないでしょう?
 なので、お金さえ出せば・・・って、折れました。
 でね、またギルスが「言い値を出そう」って、言っちゃったもんだから、下心がでたんでしょうか、サミーラ、大きな屋敷の一つも建てられるという金額を吹っかけたんですよ。
 アイリンは、サミーラが悩んでいるのを見て『金は本当に必要なんだろう。でも、すぐに返事をしないのは彼女がアイリンのことを大切だと想っている証拠だった。大金を前に、それでもサミーラはアイリンを守りたいと思ってくれているのだ』と思い、自らギルスと行くと言います。

 けれどサミーラ、吹っかけた金額を訂正しなかったんですよね〜。
 やっぱ、この人信用できないって思っちゃいました(←どこまで、サミーラ嫌いやねん 苦笑)


 そうして、ギルスの愛妾となったアイリンですが、結局、彼が大金を払ってまで自身を買い取った理由をはぐらかされてしまった上、感覚があまりにも違いすぎて、『金持ちの考えることは理解できない』とか、『(もう一度会いたいと思って)ずいぶんこの男のことを考えていたのに、いざもう一度会ってみたらずいぶん気に障る男だ』『常に喧嘩腰なのも気に食わない』って、ムッとしてるんですよ。
 で、もう一度訊ねるんですよ、何故自身を買ったのか、豪華な部屋を私室として与えるのか?って。
 でも、「お前は私のものだ」「私のものに私が何をしようと構わぬだろう。違うか?」って、逆に質問で返されてしまうんですよね。
 結局、要領を得ない質問に黙るしかなかったアイリンでしたが、次のギルスの「お前には今後人前で踊ることを禁じることとする」という言葉には、猛反発です。
 
 「俺は踊り子だ」って主張するんですけど、「私は男娼のお前を買い取った」って言われ、アイリスは益々、頭に血を上らせるんですよね。
 でもね、踊ることを禁じられた理由に「お前の踊りは人に見せられるものではないからだ」と言われたアイリンは、自身を全否定されたと思うんです。
 生まれて初めて感じる怒りを感じ「承知できない」と言い募るんですけど、最後には「……踊るがいい。ただし、私の腕の中でな」と、ベッドに連れていかれ絶句です。
 しかも、身に着けていた母親の形見でもある踊りの衣装を乱暴に剥ぎ取られ、破かれてしまい、ギルスに反感しか持てなくなってしまうんですよね。

 けれど、初心なアイリンはギルスの手管と、優しく唇に触れてくる彼の手に流されてしまいそうになるんです。
 そんな時、「お前の踊りは人に見せられるものではない」というギルスの言葉が蘇ってきて、口づけを拒み、「確かに身体は売った……でも心はアンタには売らない。だから……唇への口づけはしないでくれ……」と、娼婦の掟をギルスに突きつけました。


 ギルスが、とんでもない大金を支払ってまでアイリンを手に入れたのは?
 踊ることを禁じられたアイリンは?
 そして、踊ることを禁じた本当の理由とは?




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 私には、ちょっと物足りなかったです。
 アイリンが、若く初心で、人が良すぎたってのもありますし、ギルスが傲慢そうに見えて、実は不器用なだけってのがミエミエだったのもあると思います。
 なので、もう少し、わさびでも、七味唐辛子でも、山椒でも何でもいいので、ピリッと効かせて欲しかったな〜と思いました。

 後、前にもひとつひとつの文章が短いのが苦手と書いたことがあるんですけど、この作品もそうだったんですよ。
 私には、そういう手法(?)が、どうしても箇条書きしてるように感じ、小説を読んでる風に感じられないんですよね。
 アイリンが若いから、それを強調するために、ワザとそういう風に短文にしてたのかな〜なんて、深読みもしてみましたが、そういう書き方だと、やっぱり稚拙に感じてしまいます。
 でも、まだデビュー1作目ですし、生意気な言い方ですが、これからに期待したいと思います。



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