2007年12月22日

【白き褥の淫らな純愛】
 鈴木あみ ill:樹 要


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タイトル:白き褥の淫らな純愛
  (遊郭シリーズ 7)

著者:鈴木あみ
イラスト:樹 要
発行:白泉社
レーベル:花丸文庫
発売日:2007/12/19
価格:580円(税込)

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〜ひとりごと〜
 傾城×?

=白き褥の淫らな純愛=
 売春が公認化され、遊里として復活した吉原でも屈指の大見世・男の廓「花降楼」。
 美妓揃いと謳われる「花降楼」の中では、目立たない容姿ながらも、身体がよくて、素直で愛嬌もあると言われ、20歳を過ぎた今では売れっ妓とは呼べないなりに馴染みもついていた傾城・撫菜(なずな)。
 ある日、屋形船での隅田川の花火大会見物に仲のいい先輩・葵から誘われ、撫菜も一緒に連れて行ってもらうことになった。
 だが、花火大会も終わり、いざ吉原に帰るとなった時、手違いで手配した車が遅れた。
 撫菜は、時間がかかるならと、船着場にある庭を散策しようと歩き出した。
 しかし、道に迷ってしまい、船着場に帰れなくなってしまった。
 運悪く雨も降り始め困っていた撫菜は、寺院を見つけ駆け込もうとした。
 そんな時、ふと撫菜の視界に入ってきた人物がいた。
 雨に濡れるのにもかまわず、墓の前に佇む男。
 撫菜は、これで道が聞けると駆け寄ろうとするが、まるで彼が泣いているように見えて、足を止めた。
 彼のあまりにも辛そうな顔が、泣いているように見えただけだったのだが、その姿に傘を持っていたら、差し掛けてあげたいと思うほどだった。
 そして、撫菜は持っていたうちわで、ないよりはましと彼の頭上に差し掛けた。
 だが、気配に気付き振り向いた彼の綺麗だけど、冷たいというより怖い視線に晒された撫菜は、言葉を失ってしまう。
 何も言わない撫菜に、その場を立ち去ろうとした彼の袖を掴んでしまうが、彼に振り払われ転びそうになる。
 だが、転んだにも関わらず痛みはなく、彼が自身を庇ってくれたこと知る。
 その後、ふたりで雨宿りをし、船着場に送ってもらう途中、撫菜を探していた「花降楼」の若い衆たちに見つけられるのだが、足抜けと間違われ、撲たれそうになったのを、またしても彼が庇ってくれた。
 そのことが嬉しくて、撫菜は胸を熱くする。
 結局、名前を聞くこともなく別れた彼のことを思い、お仕置きで入れられた蔵で眠れぬ夜を過ごした撫菜。
 だが、翌日、昨夜のことを楼主に聞かれ、彼を庇いつつ話しをする撫菜は、あるゲームを持ちかけられた。
 それは、楼主と縁の者だという昨夜の男を、『落とす』というものだった。
 勝てば、借金は棒引き、吉原を出れる、しかし、負ければ、河岸見世へと売られる。
 河岸見世に売られたら、どうなるかを知っている撫菜は恐怖するも、彼にもう一度会えるという誘惑には勝てなかった。
 そうして、ゲームに乗った撫菜に、楼主はある忠告をする「娼妓だということは、あの子には黙っていなさい。あの子は体を売るような商売をする子は汚いと思っているからね。嫌われないように」というものだった。
 そして、自身が娼妓だと隠して、彼と再会した撫菜だったが・・・



 表紙とは裏腹に中のイラストが地味だったんですよ。
 撫菜のお相手・氷瑞(ひずい)もず〜っと表情が暗いし・・・。
 それに、撫菜もかわいそうなくらい自身の身の上がわかってないんですよね。
 人からみたら、とっても悲しいことを喜んでたりするんです。
 なので、こちらまで悲しくなってきちゃいました。
 どうなることかと思いましたが、氷瑞と出会い、小さなことに幸せを見つける撫菜がかわいくて、途中からは幸せにしてやってくれ〜って願っちゃいました(苦笑)


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 撫菜はね、十人兄妹の七番目なんですよ。
 なので、ついた名前は七生(ななお)。
 しかも、両親は子供たちに一切興味はなく、堕ろす金がないから産んだというものだったんです。
 それに、取り立てて器量がいいわけでも、取り柄があったわけでもない撫菜は、とりわけ両親にも構ってもらえなかったそうです。

 そんな撫菜が、吉原に来たのは13歳の時。
 初体験の相手(女衒)に、「おまえの身体は最高だよ。顔だってまあまあ可愛いし、このまま埋もれさせておくのは惜しいと思うんだ」「これだけイイ身体なら、あの『花降楼』だって買ってくれるかもしれないぜ。あそこはほんとなら処○じゃないとだめだけど、俺がうまいこと話をつけてやるからさ」と言われて、吉原に来たんです。
 本当は、『抱かれるのは気持ちいいけど、その行為を売り物にするのはいけないことのような気がした。それにそんなにもいい身体だといいながら、彼はずっと抱いていてくれるのではなくて、お金と引き換えに手放してしまうのだ。そのことを思うと悲しかった』と素直に頷けなかったんですね。
 でも、『借金がある』という女衒の言葉に助けてあげたい、それに家にお金が入れば家族も喜んでくれると、吉原に行くことを決心するんです。
 両親も、七生が吉原に行くと言ったら「親孝行な子」だと喜んで、初めて七生を褒めてくれ、父親がパチンコの景品のチョコレートをくれたそうです。

 溜息出てくるでしょう?
 こんな両親や撫菜のこと抱くだけ抱いて、金に換えようとする男に。
 しかも、七生が、両親が初めて褒めてくれたことや、女衒が「イイ身体」だと沢山褒めてくれたって、喜んでるんですよ。
 そもそも13歳の子相手にしてることすら、犯罪やっちゅうねんって、ツッコミどころ満載でしたよ。
 なので、撫菜が哀れで哀れでしょうがなかったです。

 更にこの女衒、頭も悪くて『花降楼』は処○しか取らないの知ってるクセに、撫菜の身体がいかにいいかと言うことを、楼主や遣り手の鷹村の前で、べらべらと喋りまくるんですよ。
 鷹村の表情がどんどん冷たくなっていくのも気付かずに。
 結局は、楼主のひとことで、『花降楼』に買われることになったんですけど、思ったほどの額がもらえなかったと、忌々しそうに撫菜を睨むんですよね〜。
 撫菜、殴られるんじゃないかって怯えてました。

 撫菜は、七生って名前が嫌いだったんですね。
 何故なら、七番目に生まれたから七生っていい加減につけられた名前だったからなんです。
 でね、楼主から、撫菜って名前を付けられた時、嬉しかったんですよ。
 ちゃんとつけてもらえた名前だからって。
 でもね、後で、撫菜がぺんぺん草の名前だって知って、ショック受けてました。

 そうして、月日は流れ、20歳になった撫菜は、目立たない容姿ながらも、身体がよくて、素直で愛嬌もあると言われ、売れっ妓とは呼べないけれど、馴染みもついた傾城になりました。
 ある時、仲良しの先輩、葵がお客さんと屋形船で隅田川の花火大会の見物に行くことになり、撫菜も誘われて一緒に行くことになったんですね。
 吉原にいる以上、大門の外に出るってことは大変なことですよね。
 お客さんと一緒と言っても、足抜けの心配があるので、保証金など沢山のお金がかかるらしいんです。
 で、大門の外に出られるだけでなく、屋形船で舟遊びでしょう?
 撫菜は、部屋づきの新造に叱られるくらい、はしゃいでたんです(苦笑)

 そして、花火大会も終わり、いざ帰るってなった時に、手違いで迎えの車がくるのに1時間も掛かると話しているのを聞いた撫菜は、それならと少し船着場にある庭を散策してたんです。
 でも、迷ってしまい、周りに道を訊ける人もいなくて、困ってたんですよ。
 その内、雨も降ってきましたし。
 そしたら、お寺があって、そこなら誰かいるかもしれないと入っていったんですね。
 で、ふと墓地を見ると「最愛の妻の魂、ここに眠る」と書かれた墓石の前に佇む人を見かけ、やっと道を訊けると近づいたんですね。
 けれど、その人が泣いているように見え、足を止めるんです。
 その人の顔が、あまりにも辛そうで、それが泣いているように見えただけだったんですけど、撫菜は雨に濡れるのも構わず、立ち尽くすその人に傘があるのなら差し掛けてあげたいと思うんですよ。
 よっぽど、悲しげで何かしてあげたくなったんでしょうね。
 でも、傘がないので、その代わりに持っていたうちわを差し掛けてあげるんです。

 そこで、気配に気付いた彼が、撫菜を振り返るんですけど、目があった途端、息を飲むんです。
 それは、その彼が、尊大な感じで癖はあるけれど、とっても綺麗で魅入られそうな美貌だったからです。
 けれど、彼の方は、撫菜を奇妙な生き物でも見るかのような目で見て、冷たいというより、怖いような視線に晒され、言葉を失うんです。
 それに、うちわを差し掛けたことを咎められてるような気にもなってしまったんですよね。

 けれど、彼がそのまま立ち去ろうとするので、このままじゃ道を訊けなくなるって袖口を捕まえたんです。
 離せ、掴むの攻防が何度か続き、とうとう撫菜が掴み損ねてしまい、勢い余って転ぶんですよね。
 けど、衝撃がこないので、おかしいと思ったら、その彼が下敷きになって庇ってくれてたんです。
 雨も降って、地面はぬかるんでるから服は汚れるし、捻挫させちゃうしで、謝るんですけど、その一方で助けようとしてくれた彼がそんな怖い人じゃない、優しい人だと撫菜は思うんです。
 で、御堂で雨宿りをすることにしたんですけど、その時、ついお墓のことや彼が辛そうにしてた原因を訊いてしまうんですよ。
 それが、更に彼を辛くさせたと思ってしまった撫菜は、ついつい「怪我させちゃったお詫びに……俺とする?」って言ってしまうんですよ。
 結局、撫菜は、そういう風な関わり方しか知らなかったんでしょうね。
 お客さんが『撫菜を抱くと辛いことは皆忘れる』って言ってくれるから、撫菜の身体を使って楽しんでくれたらって思ったんです。
 でもね、彼の方はそんな撫菜に、激高するんです。
 「そういう冗談は大嫌いなんだ」って、吐き捨てるように言われてしまうんです。

 雨も上がり、彼に船着場までの道を訊いた撫菜は、本当は覚え切れなかったんですけど、綺麗な顔だけに睨まれると怖くて、わかったふりをして行こうとするんですね。
 でも、結局、お寺からも出ることができなくて、追いかけてきてくれた彼の助けを借りて戻ることにするんです。
 この時、濡れた浴衣を着ている撫菜が寒かろうと、上着を着せ掛けてくれたり、わざわざ追いかけてきてくれた彼のことをやっぱり優しい人だったと、撫菜は嬉しくなるんです。

 そんな時、探し回ってた『花降楼』の若い衆たちとバッタリ会ったのは良かったんですけど、足抜けしようとしたと思われて殴られそうになるんですね。
 それを助けてくれたのも彼でした。
 そうして、借りていた上着を返そうと脱いだ時、撫菜は皮を剥がれるように辛く感じてしまうんです。

 『花降楼』に戻り、お仕置きに蔵で一晩過ごした撫菜は、彼のことが頭から離れず、眠れぬ夜を過ごしました。

 そして、翌日、撫菜は楼主に呼ばれます。
 昨夜のことを詳細に話をさせられたんですが、彼のことを庇う撫菜を見て楼主に「おまえも……その男をずいぶん気に入ったようだね」と言われるんです。
 言い当てられたと思うと同時に、彼に迷惑がかかってはいけないと一生懸命、彼は関係ない自分が勝手に思ってるだけだと、言おうとする撫菜に、楼主は写真を見せ相手を確認させた上で、彼が自身の縁の者だと明かし、撫菜にゲームを持ちかけます。
 「おまえの身体であの子を落としてみなさい」と言われるんです。
 それに、落とせたら、借金は棒引きの上、自由(吉原を出れる)を与えるとも。
 けれど、逆に落とせなかったら、河岸見世行きです。
 河岸見世は、言い方は悪いですけど、吉原の中でも最下層のところなんです。
 料金も安いから、来る客もそれに見合った客で、暴力を振るわれたり、病気になったり、また病気をうつされて死んだという話がよく出るようなとこで、撫菜は震え上がるんです。
 それに、楼主の狙いが何なのか訊いても教えてもらえないしで、困惑してしまうんです。
 でもね「おまえがこの話に乗るのなら、あの子と再会する機会は私がつくってあげよう」って言われ、思わず頷いちゃうんですよね。
 もう二度と会うことはない人だと思ってたので、それを思うと万が一のこともどうでもよくなってしまうんです。
 けど、楼主から「娼妓だということは、あの子には黙っていなさい。あの子は体を売るような商売をする子は汚いと思っているからね。嫌われないように」と忠告を受けるんです。
 娼妓と知られたら嫌われてしまうかもしれないと、撫菜はどこまでも沈みこんでいくような、酷い衝撃を受けるんです。

 私もね、ちょっとショックでした。
 春を売っている楼主がする恋ってどんなだろう?って、彼のお話も読みたいな〜と思ってたんですね。
 だから、こんな人の心を弄ぶようなゲームを持ちかけるなんて・・・と思っちゃったんですよね。
 確かにね、この彼と楼主の間には、色々あったようです。
 これは、仕方ないと諦めるべきなのか?と思ったんですけど、意外や意外、楼主の狙いは違うとこにありました。
 なので、ホッとしました〜。

 さてさて、楼主の計らい(手引き?)で、彼との再会を果たした撫菜は、彼に「このあたりの見世ではたらいているのか」と訊かれ、水茶屋で働いてると偽ります。
 そうして、キツネうどんもお稲荷さんも知らないという彼にびっくりさせられたり、つい奥さんのことを思い出させてしまうようなことを言ってしまい失敗したと落ち込む撫菜に彼が絵を描いてくれたりで、楽しいひとときを過ごすんです。
 でね、彼が「よくそんなに表情が変わるもんだな」「見てて飽きない」と、言われたことに、彼の描いてくれた絵がきつねでそれが撫菜だと言われたことが人型に描いて欲しかったと落ち込むものの、可愛く描いてくれたこと、また、名前を聞いてくれたこと、そして名前を褒めてくれ、ぺんぺん草じゃなく他の意味があるんだよって、意味までは教えてくれなかったけれど、教えてくれたことの何もかもが撫菜は嬉しくてしょうがないんです。
 それは、自身に興味を持ってくれたという証のようだったからです。

 その彼の描いてくれた絵に氷瑞(ひずい)とサインが入っていて、雅号ではあるんですが、彼の名前を知ります。

 こうして、この時会った、うどん屋での逢瀬が続きます。

 けど、楼主から、再三会っているのに、落とせないことで河岸見世に行かせると脅されるんですよ。
 でもね、お客さんでもなく、抱くわけでもないのに、氷瑞がものを買ってくれたり、頭を撫でてくれたりするんです。
 そんなことは、初めてのことで、撫菜はなんていい人なんだって思うんですよ。
 だってね、撫菜は頭を撫でられたことさえ、今までなかったんです。
 だから、本当に嬉しかったんですよ。
 そんな氷瑞が、身体以外の自身を見てくれているようで、とっても嬉しかったから、河岸見世のことも賭のことももうどうでも良かったんです。
 彼と今、一緒にいられるだけでしあわせだったんです。

 撫菜、ほんとにけなげというか、なんと言うか。
 ゼロより、下のマイナスのところから始ってるからこそ、ちょっとしたことで、自身に感心を抱いてもらえたって喜べるんですよね。
 それをまた本人が気付いてなくて、純真で人を疑うことも、羨むこともないですから、何だか、悲しくなりました(溜息)


 楼主と氷瑞との関係は?
 氷瑞は、亡くなった妻を忘れられるのか?
 撫菜は氷瑞を落とせるのか?
 そして、娼妓だということを隠し通せるのか?



=愛で痴れる夜の純情・前夜=

 綺蝶(きちょう)が、編み物をしていて、編んでいるのは誰へのプレゼントなのかとヤキモキしている蜻蛉のお話でした。



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posted by 零 at 22:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 鈴木あみ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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