タイトル:夜夜の月 著者:水原とほる イラスト:町田九里 発行:竹書房 レーベル:ガッシュ文庫 発売日:2006/1/25 価格:600円(税込) |
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〜STORY〜
大好きな絵とこの身体を一緒に売るような事はしたくない。だけど・・・。
家庭の事情で美大を中退した神原亮は、生活のために仕事探しながらも、絵への未練を捨てきれないでいた。そんな時、業界でも有名な画商の澤と出会う。澤は亮が描きたいものを描き、画家として稼げるようになるまで生活費も含めて面倒を見てやると言う。その代わりに出された条件は、澤が望むときにいつでも身体を差し出す「愛人」になることだった。悩みながらも、どうしても絵を諦められない亮は澤と「愛人契約」を交わしてしまう。しかし、澤は画商として誰よりも優秀な目を持ちながら、絵をまったく愛さない男だった。そんな澤の中に、過去の暗い影を見た亮は…。
絵を愛せない画商と、絵しか愛せない画家。それでも惹かれあう二人の狂おしい恋物語。
〜ひとりごと〜
画家の卵×画商
傲慢攻
小学校に上がる前に両親を交通事故で亡くし、祖父母に育てられた神原 亮(かんばら りょう)。
祖父が日本画家だったこともあり、幼い頃から絵を習っていた亮にとって、感情を素直に表現することが出来る唯一の手段が絵を描くことだった。
しかし、祖父が亡くなり、祖母との生活のため美大を辞めたが就職先も決まらず、アルバイトで何とか食いつなぐような日々だった。
祖母のためにも絵を諦め、就職しなければとわかってはいるのだが、なかなか心の整理がつけられないまま、アルバイト後は路上に自身の描いた作品を並べている亮。
そんなある日、「おい、この絵は自分で描いているのか?」と端正な顔の男に声を掛けられる。
その男が手にした絵は、自身が最も気に入っている絵で、手放したくないと思った亮は、「3000円」とふっかけるが、相手はそれ以上の料金を払い「絵を描きたいんだろう?絵を描くために金が必要なら、俺のところにくるといい」と名刺を置いていった。
その名刺には『ギャラリー・S 澤 雅宏』と書かれており、『ギャリー・S』とは有名な画廊だった。
たとえ雑用係としてでも絵の近くで働きたいと思った亮は、思い切って澤を訪ねることに。
しかし彼が亮に与えた仕事は複製画を描くことだった。
その仕事を引き受けた亮だったが、次第に自分の絵を描きたいという欲求が大きくなっていく。
それを見透かしたかのように、澤からパトロン=愛人の話を持ちかけられる。
一度は断るものの、急に入用になったこと、そして何より自分の絵が描きたいという欲求を抑えきれなくなった亮は、澤のパトロン=愛人の話を受けてしまう。
しかし、画商でありながら、絵をビジネスの道具としてしか捕らえていない澤を信用することの出来ない亮は、心も身体も彼に開くことができない。
そんな亮の頬を打ち従順さを求める澤に、益々萎縮してしまい・・・。
いきなりですが、澤ドSです。(苦笑)
痛いのイヤ〜ンな私は亮の「打たないで」という叫びが頭にこびりついてしまって、少々キツイお話になってしまいました。
けれど、実際はビンタを2度程しただけなんですけどね。
亮の悲壮な叫びばかりが、頭に残ってしまいました。
澤がドSなのは、トラウマからなんです。
けど、実際Sの要素は多分に持っていたとは思うんですけど、亮にそうするのはトラウマのせいで従順さを試さずにはいられないようになってしまっているだけであって、真性ではないように思います。(苦笑)
亮は元々のおとなしい性格や祖父母に育てられことで、暴力とは無縁に育ってきたため、澤から受けたビンタに相当の衝撃を受けたようです。
だから、あの「打たないで」という悲痛な叫びになってしまったんでしょう。
それに亮は、澤がとても絵を愛しているように思えなくて、どうしても心を許すことができないんです。
実際、澤は亮に「絵に復讐するために画商になった」とも言っていますしね。
絵を見る目は誰もが一目置く程のもの、なのに絵を愛せない。
全てはトラウマのせいです。
そのトラウマのせいで、亮を試さずにはいられないというのは理解できるし、絵に復讐したいという気持ちもわからなくはなかったです。
しかも、亮の絵を見てそのトラウマを掻き立てられてしまったのですから、その思いが亮に向かうのも理解できました。
けど、暴力はな〜とどうしても思ってしまいました。(←結局、ココに引っかかってマス。苦笑)
亮の方は、澤が怖くてしょうがないんですよ。
けれどある出来事がきっかけで二人の関係は少しずつ変わっていくんです。
亮は彼の中にある優しさと闇の部分をみたことで、澤も亮と接し、また彼の絵を見て少しずつ過去と向き合えるようになることで。
それは、亮が澤に抱いていた恐怖心を薄れさせ、彼の腕を暖かい安心できる場所と認識を変えさせます。
ここまで読んだ方には、酷い話だとという印象を与えてしまったかもしれないんですけど、お話自体は亮も澤もベラベラ話す方ではないですし、絵又は日本画という題材から得る印象もあり、タイトルに似合った静謐なお話でした。
やっぱり、最初に戻っちゃうんですけど、亮の叫びさえなければとても好きなお話でした。(やっぱり、ソコかい!笑)
澤のトラウマとは?
亮の心を変えた物とは?
亮は画家としてひとり立ちできるのか?
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