2008年09月19日

【密やかな欲望】
 洸 ill:亜樹良のりかず


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タイトル:密やかな欲望
著者:
イラスト:亜樹良のりかず
発行:海王社
レーベル:ガッシュ文庫
発売日:2008/4/28
価格:590円(税込)

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〜ひとりごと〜


 広告業界で働く東間光輝(あずま こうき)には、未だ乗り越えられない過去があり、自身を厳しく律して生きてきた。
 そんな自身とは、真逆の男・鷹見 仁(たかみ じん)。
 精悍で男らしい容姿に、自信に溢れた鷹見が、東間は苦手だった。
 しかし、大手化粧品メーカーの新製品のプローモションを、2人で組んですることになってしまう。
 最初は喧嘩ばかりの2人だったのだが、あることをきっかけに東間は鷹見を見直すことになり、ふとした仕草や言葉を意識するようになったのだ。
 その上、鷹見が優しいが故に窮地に立っていることを知った東間は、そんな彼に惹かれていく自身を自覚する。
 だがそんな時、東間の元に不気味な手紙やFAXが送られてくるようになり……



 随分前に購入していたのですが、読む機会を逸してしまい、今頃になってしまいました。

 広告代理店で、CMなんかの企画をしているふたりです。
 同期で同僚、真逆の性格なことから、互いに苦手意識があり、周囲からもライバルだと思われています。


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 東間はね、13歳の時、男性に恋をしたんです。
 初恋は実り、体の関係もある付きあいをしていました。
 けどね、突然訪れた恋の結末は、悲惨なものだったんですよ。
 なのでそれ以来、自身を厳しく律し、真面目な優等生を演じ続けてきました。
 また、東間は綺麗だと評される自身の顔も嫌い、メガネをかけて防御をし、冷淡な態度も身につけました


 そんな東間とは正反対の性格と容姿の持ち主、鷹見。
 東間は、精悍で男らしい容姿を持ち、自信に溢れた態度に、余裕のある話し方をする鷹見が苦手でした。
 それは、
 『彼のような男の前にいると、自分がひどく貧弱で頼りないもののように感じられる』
 からです。

 周囲からも
 『いつも人に囲まれている鷹見仁と、孤高の東間光輝』
 と、ライバルとみなされていましたしね。


 なのに、大手化粧品メーカーの新製品、男性用化粧品のプロモーション社内コンペで、
 『どちらも捨てがたいが、どちらもインパクトに欠ける』
 という評価を東間と鷹見は貰ってしまい、2人で組むよう命じられてしまったんです。

 東間としては、相手が苦手な鷹見だけに、願い下げの事態でしたが、そんな理由は通らないですし、何よりこれは、初めての大きなチャンスだったんですよね。
 だから、やるしかなかったんです。

 けど、顔あわせの時から、嫌味の応酬ですよ(苦笑)
 でもね、それがなにげに互いを褒めてるところがズレてて可笑しかったです。

 案を見せ合って、互いに
 「お前らしい企画だな」
 というところでは一致するんです。
 けど、東間の案を鷹見は、
 「男の格好よさを前面に押し出していて、魅力たっぷりだ」
 と、皮肉り、鷹見は、東間の案を、
 「いかにも女にもてる男が考えそうな案だ」
 って。

 つまり、東間は鷹見のことを、『女にモテる』って言っていて、鷹見は東間のことを『自信家』だと皮肉ってるんです。


 鷹見、毎年バレンタインになると、社内だけでなく、社外の女性からも届けられるっていう状態で、凄いチョコレートの山ができるそうなんです。
 東間なんて、あの量をどうするんだろう?って、呆れるくらいだそうですよ(笑)


 その上、鷹見にね、
 「こういう綺麗な顔をしていれば、鏡、を見るのも楽しいだろう。磨きがいもあるしな。もう少し愛想をよくすれば、チョコレートの山が俺より高くなるのは間違いないぜ」
 なんて、言われんですよね。
 そんな言い方されて、ムッとしてしまった東間は、つい
 「人をナルシストみたいに言うのはよせ。俺は自分の顔が嫌いなんだ」
 って、ついコンプレックスがあることを口走っちゃいました。

 鷹見、予想外な反応驚いてましたよ。
 東間のことを『自信家』だと思ってましたからね。

 東間も、鷹見にそんな反応されてしまったと思いましたよ。
 しかも、
 「そうなのか?」
 って、意外そうに聞かれましたし。
 なので、
 『初めから、好かれているとは思っていないが、ますます組むのが憂鬱になった』
 って、苛々してきたんです。

 そんな東間に鷹見ったら、メガネを取り上げて、
 「ほら、お前イイ男だぜ。俺は好きだけどな、お前の顔」
 って、言うんですよ(苦笑)

 東間、絶句してました。
 メガネに度がほとんど入ってないのもバレちゃいましたしね〜(笑)


 東間にとって、メガネは鎧のひとつだったんですよね。
 それを取り上げられて、あんなこと言われた東間、かなり動揺してしまって、
 「仕事の話をする気がないなら、俺は失礼する」
 って、逃げようとしましたよ(苦笑)
 けど、素直に謝られて、逃げれなくなっちゃったんですよね。
 更にね、東間、鷹見に満面の笑顔を向けられ、奇妙な胸騒ぎを覚えてしまいました。


 そして、一緒に仕事をする内に、鷹見の印象はどんどん好転していくんですよ。
 東間って、今まで何でもひとりでやってきたので、自身の言わんとすることを少ない言葉で察してくれる鷹見との仕事は、とっても楽しかったんです。


 マーケティング部との打ち合わせの時間が迫り、喫煙コーナーに煙草を吸いに行っている鷹見を東間が呼びに行ったんですが、その時、鷹見が告白されていたんです。
 しかも、男性に。
 興味本位で、自販機の陰に隠れて聞いていた東間だったんですけど、鷹見の対応に驚かされました。
 ゲイの東間にとって、ストレートの人がそういう対象に見られるのは気持ちの悪いものだろうと思ってたんですよ。
 実際に告白している男性も、そんなようなこと口にしてましたし。
 でもね、鷹見、驚きながらも、
 「気持ち悪くないですか…?」
 と、萎縮する男性に、
 「ありがとう」
 「自分を好きだと言ってもらえて、嬉しくないわけがないだろう?」

 って、断ってしまうんですが、それがとても相手を思いやったものだったんですよね。
 だから、
 『告白にはいつも、あんなに誠意のある態度で応えるのだろうか。
  同性の男に対しても?』

 って、思うんです。

 それは、やっぱり東間が、初恋で辛い思いをした経験があったからなんですよね。
 だから、鷹見のそんな対応を見て、彼の度量の大きさや優しさが、東間の胸に残りました


 それから数日後、リサーチも兼ねて、ふたりで写真展に行くことになったんですね。
 お腹が減ったていう鷹見に付き合わされた、行く前に食事をすることになったんですけど、その食事中に、鷹見が彼女に呼び出されて帰ってしまったんですよ。
 ひとりで見に行った東間は、
 『写真を見て、鷹見ならならどう言うか、何を考えるか。そんなことばかりが頭に浮かぶ。そして、自分の意見を鷹見に伝えたかった。
  隣に、鷹見がいてくれれば

 と、鷹見のことばかり考えてしまうんです。
 で、
 『恋人に呼ばれて行ってしまった鷹見の姿を思い出すと苦しい。
  彼が東間より、彼女を選んでしまうことが。
  じりっと、胸の奥が焼けるような気がした』

 んです。

 そして、遠い昔に封印したものが、胸の奥で痛み始め、自身が
 『男に抱かれたいと思う「女」』
 だということを思い出さされてしまい、今まで、鷹見のことを苦手だと思っていたのも、彼に惹かれることへの警告だったのかもしれないと思ってしまうんです。

 けど、鷹見、男性に告白されて、断っていたでしょう?
 期待を持たせるようなことを言わなかった彼に好感は持ちましたが、
 『すでに相手がいるから、というのと同時に、男同士ではムリだ、という意味もあったのだろう』
 と、とった東間は、
 だからこそ、彼の友人でいたい、そのためには彼の友人にふさわしい男でなければならないって思ったんです。
 そして、
 『ますます自分を律し、この浅ましい欲望を抑えこむのだ。
  自分のせいで、もう誰も傷つくことがないように』

 と、ますます頑なに律することを誓いました。


 週明け、東間は仕事が入っていて、午後からの出勤になったんですが、出社してみると、部内の様子が変だったんです。
 けど、東間は鷹見への自身の思いに気づいたでしょう?
 だから、この時、鷹見がいないことに、一安心してたんです。
 でもね、いつもは真っ先に挨拶してくる鷹見が、戻ってきた時に声をかけてくれなかったんです。
 そのことに
 『何か気づいたのだろうか。
  無意識のうちに東間の欲望が伝わってしまった?』

 って、焦るんです。
 けど、理由はわからないまでも、いつもは人に囲まれている鷹見が遠巻きにされていることに気づきました。
 で、なんだろうと思っているうちに、鷹見は外出してしまうしで、東間ひとりがわからないままだったんですよね。
 それだけに、気持ちを気づかれたんじゃないかと、緊張はピークに達していたので、鷹見が外出してくれたことにホッとしてました。

 たまたま、トイレで仲の良い先輩に出くわしたので、東間は部内の様子が変なことを尋ねました。
 そしたらね、鷹見の恋人の母親が、会社に乗り込んできて、娘を弄んだ挙句、無理矢理子供を堕ろさせたって、彼を散々詰っていったって聞かされたんですよね。
 しかも、鷹見は何も弁明しなかったとか。

 会社でやられちゃったもんだから、事態は最悪で、鷹見はクビの可能性もあるということなんです。
 こういう噂はすぐに回っちゃいますし、企業の商品を宣伝する立場にある広告代理店の社員のイメージが悪いと、企業の方も仕事を依頼するのに躊躇しますものね。
 そして、ふたりでやってる企画も外されるかもしれないということでした。

 けど東間、その話に違和感を感じました。
 でね、鷹見が帰ってくるのを待って、
 「俺のリサーチ(写真展の)を聞かせるヒマがない」
 って、写真展のリサーチを口実に、食事に誘いました。

 鷹見、ちょっと参ってたみたいです。
 だから、何があったか、話を聞いたという東間に
 「俺を天下の悪党だとは思わないのか?」
 なんて、訊くんですよ。
 けど、東間、それをあっさり否定し、その理由を、
 「お前を知ってるからだ
 と、言ったんです。
 なのに、
 「お前、意外といい奴だったんだな」
 って、鷹見に言われちゃって、
 「意外は余計だ」
 って、ムッとしてみせました(苦笑)


 そうして食事に行き、ことの真相も聞いた帰り、やっぱり鷹見は参っていたみたいで、酔っぱらっちゃったんです。
 で、彼を部屋まで送っていったんですけど、その時にね、ベッドに寝かせた鷹見に、
 「お前はいい奴だ」
 「お前、まだ自分の顔が嫌いなのか?」
 「俺は好きなのにな、お前の顔も、名前も」

 なんて、頬に手を置かれて、言われちゃったんです。

 東間、ただでさえ、そんなことを言われて動揺してたのに、頬を撫でられて、背筋にぞくっとしたものを走らせてしまったんです。
 そして、そのまま眠ってしまった鷹見の頬に、逆に触れたんですけど、そしたら、また熱いものが駆け抜けて、気がついた時には、キスしてしまってました

 無意識にしてしまった自身に、東間は恐怖してしまいましたよ。
 自身の心をあれだけ律していましたし、何より、そうしてしまったことで、過去の辛い出来事を思い出してしまいましたからね。
 なので、慌てて帰宅しました。


 しかし、翌日、東間を恐怖させる出来事が起きました。
 帰宅した東間の自宅に届いていた封筒に、
 「俺を覚えているか」
 と、書かれていた手紙が入っていたばかりか、その手紙を見た後すぐに電話が掛かってきて、その相手に、
 「俺を覚えているか」
 と、言われたんです。

 何のことだかわからない東間でしたが、胸騒ぎは覚えました。
 そして、その胸騒ぎ通り、翌日も同じ文面の手紙が届き、今度はFAXも送られてきてたんです。
 そして、それは連日続きました。
 最初は、ストーカーかと思った東でしたが、手紙に切手や住所は印刷されているものの、消印は押されてなかったんですよね。
 だから、相手が自宅に直接届けているらしいことがわかりましたし、FAXも尋常じゃないほど送られてくるんです。
 しかも、何度も電話を受けている内に、相手の声に聞き覚えがあることに、東間は気づいたんです。



 鷹見の不祥事の真相は?
 鷹見に恋をしていることに気づいた東は?
 そして、ストーカーの正体と目的は?




〜初回限定・イラストカード+SS

 ある日、鷹見が熱を出して〜という、ほのぼのしたお話でした。



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 う〜ん、ストーカーが東間をストーキングした理由がね、何だか薄いような気がしてしまいました。
 何で、そんなことしたんだ?っていう、私の期待が大きかったのかもしれませんし、そういう理由よりも、東間が色々なものを乗り越えるために必要なこと、ということで、洸先生がそっち方面を大事にされたのも大きいかもしれません。
 ただ、サスペンス好きの私としては、少々残念な面が残ってしまいました。



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posted by 零 at 20:45| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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