タイトル:デコイ -囮鳥- (かちょう) 著者:英田サキ イラスト:奈良千春 発行:大洋図書 レーベル:SHY NOVELS 発売日:2008/8/29 価格:903円(税込) |
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〜ひとりごと〜
| 意識を取り戻した時、雨の中で倒れていた。 だが、何故雨の中に倒れているのか、わからなかった。 更に、「大丈夫か」とかける者があったが、その人物が誰なのか、ましてや自分が誰なのかさえも、何もわからなかったのだ。 しかも、男の話では、自身は人を殺したという。 人を殺したという恐怖と、自身が何者かわからない恐怖に、次第に男に依存していくようになるが・・・ 同じ頃、極道会の重鎮・笠尾が、何者かに殺害されたことで、関東侠和会が動き出した。 犯人探しに乗り出しのは、『鳩』であり『鴉』(からす)の隊長・那岐と副隊長・加賀谷だったが…… |
記憶喪失の安見 亨(やすみ とおる)と、謎の多い人物・火野一左(かずさ)、そして、ヤクザの那岐顕司(なぎ けんじ)と、加賀谷 功(こう)の2組出てきます。
でね、過去に深い繋がりのあった人物たちがいるんですよ。
それが、もうひとりの人物と繋がってたりで、何、何があったの? どうなんの? ギャー!!って感じで、お話に引き込まれました〜(笑)
『
関東侠和会の説明だけ先にしておきますね。
関東侠和会というのは、言うなれば、極道会の組合みたいなもんです(←ムリヤリ)
設立者は、任侠会にこの人ありと言われた豪傑で、現在も多大な影響力を持つ、矢嶌(やしま)で、関東の主だった組のほとんどが加盟している組織です。
一応、親睦団体ということになっていますが、組織間で問題が起きた時には、調停組織の役割も果たしています。
そして、関東侠和会の中には、『鳩』と『鴉』という部隊があり、『鳩』は、監視と内定を役割とする諜報部隊で、関東の暴力団だけでなく、外国人マフィアの同行にも目を光らせています。
『鴉』は遊撃部隊で、武力介入の必要が出た緊急時に、発動される部隊です。
ただ、『鴉』を発動するには、理事たちの承認がいります。
理事たちですら、『鳩』と『鴉』は別部隊だと思っているんですが、実は『鳩』と『鴉』のメンバーは同じなんです。
で、那岐と加賀谷の正式な立場は、那岐が関東侠和会・遊撃部隊隊長で、加賀谷が副隊長です。
↓ここから本題ですよ
意識を取り戻した時、何故か雨の中で倒れてたんです。
でも、自身が、何故雨の中で倒れているのかはわからなかったんですよね。
おまけに身体に力を入れた瞬間、頭に耐え難い激痛も走りましたし…
その時、
「大丈夫か」
という声がかけられたんです。
その男の話によると、どうやら石段から転落したということでした。
でね、その男、
「あの男は死んだぞ」
って、奇妙なことを言うんです。
けど、男の言う『あの男』が誰なのか聞く気になれませんでした。
それよりも先に、目の前の男の方が誰なのか気になったからです。
だから、
「……あんたは誰だ?」
と、問うたんですよね。
でも、男は何も答えず、表情さえも人形のように動かなかったので、聞こえなかったのかと思って、もう1度聞きなおしました。
けど、自身のかたわらにしゃがみ込んだ男に、
「俺がわからないのか?」
って、逆に質問されたんですよ。
激しい頭痛を堪え、問われたことに、
「わからない。何も、わからない……。俺は、俺は誰だ? 教えてくれ……」
と、答えている内、自身が何も覚えていないことに気づき、怖くなりました。
けど、更に問いたくても、意識が霞んでいき、問えなかったんです。
そして、憐れむような表情を浮かべ、頬を撫でた男の冷たい手が、自身の地面に落ちていた右手に触れたんです。
その手には、拳銃が握られていて、手のひらは赤く染まっていました。
『――これは誰かの血なのか?』
と、思った直後、意識は完全に途切れて、それ以上考えることも男に問うこともできませんでした。
再び、意識を取り戻したとき、自身がいたのは全く見覚えのない部屋で、記憶の方は、やっぱり戻ってませんでした。
でね、男に彼のことと、自身のことを聞くんですよ。
そしたら、
「ひとことで言うなら同居人かな。お前は半年ほど前から、ここで俺と一緒に住んでいる」
「俺の名前は火野だ。お前は安見亨。年は二十八歳。生まれも育ちも東京で、家族はいない。俺が知っているのはそれくらいだ」
って、簡単なことしか返ってこなかったんです。
安見、呆然としましたよ。
半年も一緒に住んでたっていうのに、そんなことしか知らないって言うんですもの。
だから、同居人ならもっと知ってるはずだって、詰め寄るんですけど、
「お前は自分のことを語りたがらない男だったし、俺もお前の過去を詮索しなかった、だから今言ったことがすべてだ」
と、言われてしまったんです。
安見、怒りが湧いてきました。
それがね、八つ当たりだってわかってるんですよ。
でも、
『ひどい男だと思った。自分が何者かわからないという不安がどれだけのものか、この男にはまったくわからないのだ。いや、不安なんて生やさしいものではなかった。恐怖だ』
と、思うんです。
でも、知らない以上、追求してもしょうがないので、矛先を変えて、同居することになった経緯を尋ねた結果、
「今年の一月頃に俺の行きつけのバーで偶然出会い、知り合いになった。何度か一緒に飲むうち、お前に懐かれた、金がないと泣きつかれて、おごってやったこともあったな。知り合って四ヶ月ほど過ぎた頃、家主に追いだされて行くところがないって言うから、うちに泊めてやった。お前はそのまま居着いて、俺の同居人になった」
と、説明されました。
それにしても、ほんと簡潔な説明ですよね。
わかりやすいっちゃあ、わかりやすいけど(笑)
それ以外にも、安見には信じられないような説明を受けました。
自身がヒモをやっていて、定職に就いていなかったし、一緒に住むようになってからも、火野の手伝いを、たまにしてたらしいですけど、それは変わらなかったって。
この説明には、かなりショックを受けたみたいでした。
だから、火野の言うことは全部でたらめだって、
「俺はそんな男じゃない」
「俺はそういうタイプの男は嫌いだ」
って、否定したんですよ。
けど、
「嫌いでも、お前はそういう暮らしをしていたんだ」
と、断言されてしまい、言葉を返せなくなってしまいました。
それに安見はね、火野から自身の情報を得られなかったので、期待してたんですよ。
職場の人間なら、もっと自身のことを知っているかもしれないって。
でも、その望みも絶たれてしまいましたし、火野の仕事っていうのも、便利屋ということで、彼に感じていた胡散臭さは倍増してしまいましたしね。
安見が、火野のことを胡散臭いと感じていた通り、彼の仕事の便利屋というのは、一般的に言う便利屋ではありませんでしたよ〜。
安見、気になっていた自身が倒れていた時のことなんかも質問しました。
その説明で、安見は愕然とさせられました。
あの時持っていた銃で、男を撃ち殺し、その後石段から落ちて頭を打ったって、聞かされたんですから。
この時もね、
「嘘だ……」
って、否定したんですよ。
火野には、
「またそれか」
って、呆れられてしまいましたけど。
安見、自分でも完全に否定できないことをわかってました。
手には拳銃を握っていましたし、血液らしきものも付着していましたからね。
けど、受け入れ難いことばかりだったんですから、しょうがないですよね。
火野に、
「信じたくないのなら嘘だと思っていればいい。俺はお前が人殺しでも構わない。これまで通り、お前と一緒に暮らしていくつもりだ」
と、言われたんです。
安見、
『おかしい。この男はやはり変だ。同居人が人を殺したのなら、もっと深刻になるのではないか。まったく動じることもなく、どうしてこれほどまでに平然としているのだ』
って、訝しく思いました。
で、安見が殺した男ですが、火野にも男の素性はわからないそうです。
あの時の状況なども聞かされて、安見も必死に思い出そうとしました。
信じたくないからこそでしょうね。
でもね、何も思い出せないばかりか、頭が割れそうに痛みだしたんです。
だから火野に、
「今は何も考えるな」
って、ベッドに寝かされ、子供をあやすみたいに額を撫でられたんです。
そしたら、安見、
『得体の知れない男だと思っていても、優しくされれば弱った気持ちは安らぐ』
ですって。
ヒドイですよね〜(笑)
でもね、火野に優しくされたことで、張り詰めていた心がゆるんで、
「怖い……」
「もし……もし本当に俺が人殺しなら、警察に捕まる……」
って、弱音が出たんですよ。
そしたらね、火野、また奇妙なことを言うんです。
「お前は捕まったりしない。お前はそういう部分に関しては慎重な男だった。指紋を残すようなヘマはやっていないだろう。それにお前が殺した男は、おそらく誰にも内緒であの山荘に来ているはずだ」
って。
『お前はそういう部分に関しては慎重な男だった』
の『そういう部分』って何? って、気になりましたよ。
それに、
「お前はこれまで通り、俺とここで暮らすんだ」
「お前が何者でも気にしない。だから俺から離れるな。お前のことは、俺が守ってやる」
って、言うんですよ。
半年同居してますが、自身の過去を何も知らないし、火野の言うことが本当なら、殺人犯ですよ。
なのに、出た言葉がこれですからね。
執着に近いものを感じますよね〜。
安見が不安に陥っている時、関東侠和会の理事長・矢嶌の命で那岐と、加賀谷動き出しました。
警察に、10年ほど前、高仁会と抗争を繰り広げた西日本最大の勢力を誇る暴力団・渡月組(とげつぐみ)の仕業だってタレこみがあったからです。
もし、それが本当なら、また抗争が始まるかもしれないでしょう?
あの時と同じことを繰り返してはいけないって、犯人探しを命じられたんです。
彼らが探しているのは安見のことで、安見が殺したとされているのが、高仁会の前組長で、現在は相談役の笠尾です。
加賀谷、実は那岐のことが好きなんです。
で、一度は那岐も、加賀谷のことを受け入れたんです。
でもね、過去にあった出来事のせいで、酷い拒絶をしてしまったんですよね。
それでも、2人は1番信頼できる相棒として、共に仕事をしてるんです。
加賀谷を受け入れられなかったという過去ですが、それを那岐は誰にも話そうとしないんです。
加賀谷は、それがもどかしくて、時には苛立たしくてしょうがないんです。
なのに、那岐を一途に思っている姿は、けなげでしたよ〜。
安見や那岐が話したがらない過去とは?
火野が、安見へ執着するのは?
そして、火野の本当の顔とは?
那岐の過去を、少しですが、知ることはできました。
でもね、加賀谷を拒絶した理由に、それがどう繋がるかまではわからなかったんですよ。
だから、めちゃめちゃ気になりますし、那岐と加賀谷のこれからも、かなり気になります。
でね、何もかも知っている風の火野が、それを知っていて受け入れている理由も気になるんですよ。
それに、火野の心のある感情が壊れていることや、彼が選んだ仕事も。
だから、『
そして、『
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