タイトル: 著者:榎田尤利 イラスト:蓮川 愛 発行:大洋図書 レーベル:SHY NOVELS 発売日:2007/5/25 価格:903円(税込) |
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〜ひとりごと〜
| 「世にも珍しいものを見せてあげよう」と、南条財閥きっての傑物と言われる南条貴師(たかし)は、取引相手である西苑寺(さいおんじ)子爵に、吉原へと連れて来られた。 現れた吉原一の花魁・志乃は、確かに驚くほどの美貌ではあったが、貴師が本当に驚いたのは、彼女の妹女郎で振袖新造・華嵐(からん)にだった。 何と、華嵐は、4年前に突然姿を消した同窓生の義弟だったのだ。 最初はただただ驚くだけの貴師だったが、2人の視線が絡んだ瞬間、怒りが爆発し、華嵐を問い詰め始めた。 それは、西苑寺や志乃が割って入ろうとも治まらなかった。 とうとう黙っていられなくなった華嵐が、貴師を罵った瞬間、志乃が立ちはだかる。 華嵐の頬を張り、彼に座を外させることで、場を治めたのだ。 しかし、西苑寺が華嵐の『水揚げ』をすると聞いた貴師は、抑制できないほどに感情を高ぶらされ…… |
時代は、一応明治初期っていう設定になっています。
けど、「江戸時代じゃあないのねー」くらいの気持ちで読んで欲しいとのことでした〜(苦笑)
華嵐(17歳)は、伝説の花魁を母を持つ吉原生まれの育ちで、気も強いけど、どんな逆境にも耐えようとする芯の強さを持った人です。
貴師(26歳)も、両親は既に亡く、母方の南条家に養子に入りました。
で、自分の気持ちを、上手く口に出せないため、行き詰って逆ギレしちゃうタイプです(笑)
華嵐は幼すぎたため、また、貴師は華嵐の聡さに、わかっているものと言葉が足りなかったため、誤解が誤解を生んで、拗れまくってしまったんです。
そうした行き違いが、最初にあったため、意地の張り合いで、素直になれないふたりのお話です。
華嵐は、7歳まで吉原で育ちましたけど、母が亡くなってからは高輪貿易の2代目社長である父に引き取られました。
けど、義母には存在自体をないものとされ、義兄には酷い虐待を受けてました。
貴師が、『南条財閥きっての傑物』と、言われる所以は、一度は傾いた南条財閥を建て直し、更に、事業も拡大しつつあるかなりのやり手なので、こう呼ばれているようです。
貴師はね、ある出来事があったせいで、遊女が嫌いなんです。
だから、遊びと仕事を両立させている西苑寺子爵のことは尊敬していても、花街に付き合わされるのだけは、勘弁してほしいと思ってたんです。
この日も、
「世にも珍しいものを見せてあげよう」
って、西苑寺に連れられ、吉原の大門を渋々潜りました。
で、西苑寺の言う『世にも珍しいもの』というのは、大見世・銀楼閣(ぎんろうかく)のお職・志乃花魁の妹女郎(振袖新造)・華嵐のことなんですが、何しろ見てのお楽しみ〜♪的に何にも教えてくれないんですよ(苦笑)
だから、
『驚くべき、と西苑寺は言っていたが、目を剥くほどの美貌だとでも言うのか。あるいは逆に見たこともないほどの醜女だとか?いや、それでは吉原の娼妓にはなれぬだろう』
と、
その時、志乃花魁が現れました。
志乃花魁を見た貴師、杯を唇に当てたまま、軽く目を見開いて
『春だ。花咲き乱れる、絢爛たる春……』
って、志乃の美貌に驚いてましたよ。
けど、西苑寺の言う『世にも珍しいもの』に、一切の動きを止められてしまうほど、もっと驚かされました。
それは、華嵐が、4年前に突然姿を消した少年にそっくりだったからなんですよ。
でも、
『ここは吉原で、あの娼妓は女なのだから、彼のはずがないではないか』
と、思い直そうとするんですよ。
それでも、華嵐から目が離せなくて、その強い視線に気づいたのか、彼女の方も貴師を見たんです。
その瞬間、
『華嵐の睫も揺れたように見えた。紅をさした唇が震え、視線はうろたえたように畳に落ちる』
ように、貴師には見えたんです。
それでもまだ、貴師は自身の考えを否定していましたが、西苑寺の種明かし、華嵐が『男』『吉原唯一の、男遊女』ということと、酌をするために、傍近くにきた彼と目が合った瞬間、確信しました。
華嵐が、あの少年だということを。
貴師は、激怒です。
と、いうのも、貴師と暁芳(あきよし)=華嵐の間には、ある約束があったからなんです。
で、
「どういうつもりだ」
「なんでこんな場所にいる? この四年間、おまえはいったいなにをしていたんだ。暁…」
と、名前を言おうとした瞬間、華嵐が
「人違いでありんす」
って、否定したんです。
これにも、また怒りを増幅させられましたよ。
「なにがありんす、だ。ふざけるな」
って。
更に、
「人違いなものか。どれだけ化けていようと俺にはわかる。おまえは間違いなく……」
と、言い募ろうとした時、西苑寺から
「その妓は華嵐だよ。他に名はない。過去にあったにせよ、それをこの場で口にしてどうなる? 華嵐は遊女で、きみは客。それだけでいいじゃないか」
って、窘められるんですよ。
でも、貴師は聞き入れなかったんですよね。
それに、約束もありましたからね。
だから、
「いいえ、聞かないわけにはいきません。……私は今夜、この妓を買います。華嵐、おまえの揚げ代は幾らだ」
と、問うんですよ。
これには華嵐も困り、視線で志乃に助けを求めたんです。
で、
「お客人。華嵐はまだ新造ゆえ、お相手できんせん」
と、志乃が助け船を出したにも関わらず、
「ならば俺が始めての―――水揚げの客となる。料金は幾らだ。いや、幾らでも構わない」
って、傍で聞いてたら、かなり無粋で情けないことを、言い始めたんですよ。
とにかく話をしなければって、そればっかりで周りが見えなくなってしまってたんでしょうね。
それに、ここでするには、込み入った事情というのもありますけど、外野が口を挟んできて、ウザかったでしょうしね。
西苑寺にも再び窘められましたけど、最後には、
「女郎なら、金で買えるはずだ」
「言い値で買うなら文句はあるま……」
とまで、言い出しましたからね。
って、貴師、結構言葉の途中で、邪魔されてますよね(苦笑)
これって、イラっときますものね。
もしかしたら、そういうのもテンション上がる理由のひとつだったのかな〜?(笑)
今回、貴師が最後まで言えなかったのは、華嵐に杯の酒を顔にかけられたからでした。
しかも、
「無粋者」
「無粋もいいところじゃ。わっちは吉原一の花魁、志乃姐さんの妹分。そのへんの女郎と一緒にされては困る」
と、怒鳴られてしまったんですよ。
もうこの先は、激しい口喧嘩で、ここまでは、黙って見ていた志乃もさすがに間に入りました。
これがね〜、さすが吉原一の花魁!!、場の納め方は見事でしたよ。
まず、華嵐に往復ビンタをお見舞いし、お前が悪いって叱った上で下がらせました。
けど、本当は無理なことを言った貴師が断然悪いですよね?
でも、悪いのは自分なのに、ビンタの上、叱責されてるのを見たら、それ以上我は通せませんものね〜。
それに、華嵐を下げるのが、一番場を治めやすいですしね。
それでも高師、往生際悪く、「待て!」とか言ってましたけど、それ以上はもう何も言えませんでした。
でね、この西苑寺。
とんだ食わせ物だったんですよ!!
華嵐が、売られるはめになったのは、義兄のせいなんですけど、それが吉原になったのは、この色ボケ狸ジジィ・西苑寺のせいなんです。
その経緯を読んだ時に、違和感は感じてたんですよ。
感じた違和感の原因は、最後にわかりますが、ほんと吐き気がしそうなほどでしたよ。
人の良さそうな、紳士顔して、最悪でした(ため息)
話は戻りますが、華嵐が退席した後、貴師は更なる衝撃を受けることになりました。
なんと、華嵐の水揚げの相手は、もう決まっていて、それが西苑寺だと本人の口から聞かさたんです。
それを聞いた瞬間、脳裏にその時の像が走ったんですよね。
で、
『臓腑が赦せないと主張した』
『仕事ばかりではなく、私生活においても恩のあるこの人の襟首を掴みあげたい気分だ。ここまで自分の感情を抑制できなくなったのは、初めてかもしれない』
という感情に陥った貴師は、
「……子爵。お願いがあります」
と、土下座したんです。
最初に貴師が土下座した時も、
「どんなお願いなのか察しがつくだけに、聞きたくないねえ」
なんて、軽い調子な割には、目が笑ってなかったという西苑寺は、貴師の『水揚げ』を自分にさせてくれという願いを、なかなか聞き入れてはくれませんでした。
何日も何日も、西苑寺の元に通いつめ、貴師と華嵐の間に何があったのかと聞き、やっと譲ってくれました。
でもね、西苑寺からは、条件が付けられたんですよ。
西苑寺は、
『真っさらな紙に、最初に筆を入れるのが楽しいんだから』
と、華嵐の体を前もって開かせたりしないように楼主に言いつけてあったんですよ。
その上で、水揚げと同時に7日間を買い切って、自分の手でゆっくり開かせるつもりだったらしいんですね。
で、かなりの出費になりますけど、貴師にもそれと同じことをすることと
「華嵐をきちんと抱くこと」
という条件です。
西苑寺が、華嵐にしようとしていたことを聞かされ、はらわたが煮えくり返るような思いでいた貴師でしたが、彼の条件を受け入れ、『水揚げ』の権利を譲ってもらいました。
華嵐と貴師の約束と、男女郎となった経緯は?
自身を『水揚げ』する相手が貴師と知った華嵐は?
そして、客と女郎になってしまったふたりは?
ふたりの再会の時、ここまで大騒ぎしてくれた貴師なので、とことん足掻いて欲しかったな〜って、思いました。
だってね、『水揚げ』の時の1週間以降、1ヶ月経っても、華嵐のとこに行かなかったんですよ。
西苑寺に抱かれる姿を想像しただけで、あんだけ怒り狂ってたのに。
だったら、いっそのこと華嵐が客を相手にする所を、さわりだけでも書いて、悲しさを煽って欲しかったな〜と思いました。
私は、一穴一棒派なので、そんなシーンは辛いだけだし、出来ることなら避けたいシーンではありますが、客を取った〜とか、時間経過だけ書かれていても、華嵐の辛さやなんかがあんまり伝わってこなかったんですよね〜。
まぁ、その分、脇の方々が盛り上げてくれてはいましたが……。
あっ、そうそう、そう言えば、天才だか何だか知らないけど、絵のためなら何をしてもいいと勘違いしてる櫂 弥呂久(かい みろく)という絵師が出てきました。
芸術のために協力しろとか言って、華嵐を布団部屋に引き入れ、弄くりまわしてました。
そういう思い上がりや、身勝手な弥呂久も、西苑寺同様、あんまし好きにはなれませんでした。
小説xxxxx483作品 コミックxxxxx196作品 UP中










































