タイトル:ただ一人の男 4 著者:火崎 勇 イラスト:亜樹良のりかず 発行:心交社 レーベル:ショコラノベルス 発売日:2008/7/9 価格:893円(税込) |
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〜ひとりごと〜
| 如月巳波(みなみ)が、同棲中の恋人・尾崎一雅(かずまさ)に会わせたい人がいると言われ、引き合わされたのは、弁護士だった。 如月は知らなかったのだが、両親を殺した犯人が別の強盗殺人で逮捕されたのだ。 そして、引き合わされた弁護士は、その犯人の弁護士。 不機嫌な尾崎の要約によると、わざわざ弁護士が会いに来たのは、裁判の結審を遅らせるためだという。 そのために、如月に裁判を見に来て欲しいというのだ。 それに簡単に応じた如月だったが、裁判を傍聴し、犯人の顔を知ったことで、心に変化が起こり始めた。 また、勤め先のマスターが交通事故に遭うなど、今まで動かなかった心が、連続で揺さぶられる。 そうして、揺さぶられ続けることにより如月は、両親が殺された時の夢を、また見始めるようになってしまった。 更には、その夢に尾崎まで登場するようになり、眠ることさえできなくなってしまい、疲弊しきった如月はある考えに取り付かれるようになり…… |
一応、今作で『
そして、最終巻ということで、如月の心に大きな変化がありましたよ。
主治医で友人の多和田先生のお話によると、「完治とは言わない」、けど「これからここを訪ねる時には友人としておいで」ということだそうです。
このシリーズをご存じない方にも少々説明を。
如月巳波(受)は、5歳の時、強盗に押し入られ、自身は両親の咄嗟の機転で、階段下の物置に隠されて無事だったんですけど、両親は殺されてしまったんです。
騒ぎが収まっても、誰も物置の扉を開けてくれなくて、もういいだろうかと自分の手で出て来たら、リビングは血の海で、両親は死の間際だったんです。
両親が死んでいくという恐怖の場面を見せられ、更には亡骸と化した彼らと暫く過ごすことになり、巳波の心は壊れてしまいました。
世界はモノクロになり、感情が欠落し、人も物も同価値にしか感じなくなってしまったんです。
後遺症(?)はそればかりでなく、繰り返し繰り返し、当時の夢を見るんです。
でね、その度に体が冷たくなって、動けなくなってしまってたんです。
そんな巳波の心を初めて揺さぶったのが、尾崎です。
尾崎は、元ヤクザの組長で、現在は不動産業を営んでいます。
彼の夢は、現在建設中のホテルに、組を解散した時に、やむなく手を放してしまった組員たち全員を雇い入れ、後ろ指刺されないで済むような世界に戻してやることだそうです。
そんな尾崎ですが、以前は男女構わず、とっかえひっかえしているような人だったんですよ。
けど、如月の抱えているものを知り、同居を申し出たんです。
夢を見た時は、俺が抱きしめて、暖めてやる〜みたいな感じで。
まあ、同居してからも、尾崎の手癖の悪さは収まらず、家は連れ込み宿(←表現古っ)みたいになってましたけどね(ため息)
そんなふたりが変わったのは、ホテル建設を巡ったトラブルで、尾崎が如月の目の前で刺されてしまった時でした。
両親と尾崎が被って、恐怖に震える如月に、血を流しながらも「大丈夫だ」って気遣ってみせたんです。
如月にとっては、尾崎は、唯一『死』の淵から蘇ってきた人で、特別な存在になったんです。
『ただ一人の男』→
『ただ一人の男 2』→
『ただ一人の男 3』→
そうした3巻分の紆余曲折を得て、今巻です(←アバウトでゴメンナサイ)
尾崎に
「会わせたい人間がいるから、明日は出掛けないで家にいろ」
と言われて、如月は休日の午後をごろごろ過ごしていました。
でも、彼が連れてきたのは、弁護士だったんですよ。
如月、会わせたい人が弁護士ってことで、
「まさか俺に変な保証人でもさせようっていうんじゃないだろうな?」
って、思いっきり疑ってましたよ(苦笑)
けど、弁護士が用があったのは、尾崎ではなく、初めっから如月だけだったんです。
実は、両親を殺した犯人は捕まってなくて、あれから17年も経った今、別の強盗殺人事件で捕まった犯人の余罪を調べていたら、如月の両親が殺された事件も出てきたんです。
で、目の前にいる弁護士が、国選弁護人としてつくことになったそうなんですけど、17年も経ってるんですから如月の両親が殺された事件は、とっくに時効を迎えているんでしょう?
なのに、わざわざ尾崎に話を通して(←弁護士といえど、元ヤクザの組長はちょっと怖かったみたいです)まで、如月に会いにきた理由は裁判の結審を遅らせるためでした。
というのも、いかんせん犯人は60歳も過ぎた人物ということで、刑務所の夏は相当厳しいので、ひと夏だけでも遅らせたいという考えからだそうです。
何それっ!!って、思いましたよ(怒)
謝罪のひとこともなく、夏の刑務所は辛いから、先延ばしにするために協力しろだなんて、どんだけ面の皮厚いねんって、ムッとしちゃいましたよ。
それに、死刑は確定で、如月が協力したところで、減刑されることはないそうなんです。
ってか、そんなことに協力する義理ないですしね。
けど、執行までは刑務所に入らないといけないでしょう?
だから、弁護士が来たんですけど、あんまりですよね〜。
尾崎も、言外に怒りを滲ませてましたよ〜。
けど如月、あっさりOKしちゃったばかりか、積極的に協力まで申し出てました(ため息)
如月にとっては、『テレビドラマを見ているような感覚』で、何の感慨もなかったからだそうです。
傍から見てる者(尾崎)としては辛いですよね。
両親を殺した相手に何も思わないなんて……。
実際、如月の協力的な態度に、弁護士もビックリしてましたから。
弁護士が来た後も、特に何の変化もなく、『判で押したような決まった毎日』を過ごせることに、安心と幸福を感じていた如月の元に、弁護士から手紙が来ました。
実は、あの時、裁判の傍聴にも来て欲しいと頼まれていて、日時が決まったら、手紙で連絡してもらうことになってたんですよ。
その連絡が来たんですね。
で、一緒に行ってくれるという尾崎と共に、裁判を傍聴しました。
やっぱり、犯人を見ても、如月に感じるところはなく、退廷する彼と目が合ったかもしれないと、いう程度だったんです。
そんな如月に、尾崎は
「…やっぱりこれでもお前はダメか」
とボソッと呟きました。
それが聞こえた如月は、苦笑してたんですけど、
『被害者がお前になったら、見たこともないほど感情的になるかもしれないけどな』
っていう考えが、頭を過ぎった時、膝が震え、少しよろめいてしまいました。
心配する尾崎に、
「ずっと座ってたら膝が固まった」
と言い訳してましたけど、如月は自分のしてしまった想像が頭を離れなくなってしまうんです。
ある日、如月がバーテンダーとして勤めるバーのマスターが、交通事故に遭ってしまいました。
で、お見舞いに行くんですけど、病室で眠っているマスターが『止まっている』(=死)ように見えたんです。
その瞬間巳波は、足元から小さな虫が這い上がってくるように、ザワリとした感覚に襲われました。
幸いマスターは足先の骨折と、腹部の打撲で済んだんですけど、この時感じた『死』への恐怖が、じわりじわりと如月の心を蝕んでいくんです。
またね、ホテル建設は大詰めを迎えているのに、トラブルが多くて、尾崎が家にすら帰って来れないという日が続いてるんですよ。
なので、如月は、ひとりで過ごす時間も多くなってたんです。
それに加えてマスターの入院でしょう?
なので、お店も休業することになってしまいましたからね。
おまけに、マスターのお見舞いに行った帰りに、尾崎の元部下(舎弟頭)で、現在はラーメン店経営の篠塚にも、友人兼主治医の多和田のところにも行っちゃいましたからね。
やることもなくなっちゃいましたし…
そのやることのない時間が、如月に余計なことまで考える時間を与えてしまい、それはやがて如月を追い詰めていくことになってしまいました。
と、その前に、マスターの眠っている姿が『止まっている』ように見え、その結果感じた恐怖について、如月は多和田に話したんです。
で、如月は、マスターの姿が尾崎に重なって、そういう恐怖を感じたのではないか?と、自己分析してたんですけど、多和田は違ったんです。
「それは、単に自分で納得できる理由を見つけてきてくっつけただけだ」
って。
それに、ここ最近あったことを、如月は
「俺は全部話しましたよ?」
と言いますが、これも多和田は、
「関係あると思うことは、ね。でも全く関係ないことから起因していることもある。そうすると君としては繋がりがないと思ってるので話していないかもしれない」
って、思ってるんですよね。
実は如月、自分にとって大した意味もないと思うようなことは、すぐに忘れてしまうんですよ。
自己防衛本能が、働いてしまうんでしょうね。
この時も、両親を殺した犯人が捕まったことや、裁判を傍聴したことは、多和田に一切話してないですし。
それらのことを総合して、多和田は
「如月くんは、とても感じやすくなってる。感情閉鎖が解けて、柔らかい心が剥き出しになってる。だから、『今までは』という言葉はもう通用しない」
だから、
「君の心は年齢相応じゃない。言ってしまうと閉鎖された時と同じ程度でしかない。五歳、だったかな?」
「だから、五歳の子供がショックを受けることには君もショックを感じる。知識は今のままだから、これならこうだろうと予測するかもしれないけれど、今まで平気だったことであっても、違う受け取り方をすることもある。時には自分で気づかないうちに傷を負ってしまうことも。これがやっかいなんだ」
「見えない傷は悪化しやすい、自覚のない傷もね」
と、心配するんです。
で、『見えない傷』や『自覚のない傷』に気づけるようにだと思うんですけど、尾崎と一度話したいって言うんですよ。
けど、先述通り、尾崎は多忙を極めているので、無理だと如月が断ってしまうんです。
この多和田の言う『見えない傷』や『自覚のない傷』は、本当に厄介で、如月は全く気づいてないんですけど、最初は小さなことだったのが、不安〜恐怖へと繋げる呼び水になってしまったんです。
その結果、繰り返し、繰り返し、両親が殺された日の夢を見るようになり、それに尾崎も出てきてことで、怖くて眠れなくなってしまったんですよ。
こうなると悪循環で、眠れないと意識もボ〜ッとしてきますし、そうなると考えも悪い方向へと流れていくでしょう?
如月自身、段々と夢と現実の境目もわからなくなってきてしまいました。
で、その恐怖を埋めるように、尾崎の温もりを求めるんですけど、彼には一切自身の状況を話せないんですよね。
自分でも、自分がいい状態でないことはわかってるのにです。
けど、全ての考えがもうおかしな方向に行っちゃってるんで、何が正しくて、何が間違いなのかの判断がつかなくなってしまってたんです。
しまいには、恐怖は強迫観念へと変わり、自分で犯罪者に対して思ったのと同じ思考に嵌っていってしまいました。
如月の心を蝕んだ『見えない傷』や『自覚のない傷』とは?
如月が、感じる強迫観念とは?
そして、そんな如月に尾崎は?
如月がね、痛々しかったですよ。
尾崎の夢を知っているだけに、今彼の邪魔しちゃいけないって、必死で平静を装おうとするんですよね。
で、言葉で『寂しい』『助けて』って、言えない分、尾崎と体を繋げることで、何とか保っているような状態なんですよ。
それも次第に、尾崎を余計に疲れさせてるんじゃないか、眠らせないといけないって、本当は話したいのに、彼を眠らせようとしたりね(ため息)
そんな如月見てると、何日もほとんど寝てないんだから、顔色とかで何で尾崎も気づかない!!って、怒りたくなりましたよ〜。
でも、尾崎も忙し過ぎて、ほとんど家にも帰って来られないし、帰ってきても如月が、寝ろって寝室に追いやっちゃうので、会話もロクにできないような状態だったんですよね。
だから、しょうがないっちゃ〜、しょうがないんですよね。
多和田先生に、泣かされました!!
こんな先生なら、何かあった時には、是非ともお世話になりたいって思いましたもの(苦笑)
そして、気になる多和田と篠塚ですが、もしかしたら、2人のお話出るかもですよ。
『実はあまり何にも考えてないです』や『二人ともノンケだって書いちゃったから、彼らに恋愛させるのは、面倒そうだなぁ』なんて、火崎先生は仰ってましたが、私は、満更でもないと見ました(←オイオイ)
やっぱ、ここまできたら、多和田と篠塚のお話読みたいですものね。
気力のある方、どうか編集部にリクエストしてください(←オイオイ、他力本願かよ)
小説xxxxx482作品 コミックxxxxx196作品 UP中










































