2008年06月21日

【ただ一度の恋】
 飛沢 杏 ill:有馬かつみ


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タイトル:ただ一度の恋
著者:飛沢 杏
イラスト:有馬かつみ
発行:アスキー・メディアワークス
レーベル:B-PRINCE文庫
発売日:2008/06/07
価格:672円(税込)

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〜ひとりごと〜
 警察官僚×政治家

 警視庁捜査一課管理官、いわゆる警察官僚の御苑悠生(みその ゆうき)は、19歳の時、高校からの同級生で、苦しい片思いをしてきた倉木允紘(のぶひろ)から告白された。
 しかし、彼の家が代々政治家を輩出している家系で、本人も政治家を目指している允紘の将来を思うと、足枷にしかならない男同士の関係を受け入れることはできなかった。
 それでも、允紘をどうしても自身に引き止めておきたかった悠生は、軽薄な口調を作り、精一杯の芝居をした。
 それから、8年間切ない思いを隠し、せフレとして、体の関係を続けてきたふたりだが、ある日悠生の元に、写真が送られてきた。
 その写真には、允紘とのキスを納めたものもあり、明らかに脅迫目的のものだった。
 相手の目的を探り、目的が金でも允紘でもなく、自身だと知った悠生は、ある決意を固めるが……



 ふたりともね、とにかくマジメです。
 で、頑固というのか、辛抱強いというのか…。
 一途に相手を思い続け、自身の気持ちを殺してでも相手のことを思いやっているカプのお話でした。


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 ふたりはね、高校も大学も同じの同級生なんですね。
 そして高校生の時から允紘は、悠生にとって特別な存在だったんですよ。

 允紘とは、高校の3年間、成績でトップを争いを続け、読書量でも博識ぶりにおいても、悠生に肩を並べることができるのは彼ぐらいだったんですよね。
 そして、1年の後期から、3年の前期まで生徒会長を務めたという、前代未聞の長期政権を担い、さまざまな改革に取り組み、成果をあげたという伝説も作った人物なんです。
 悠生も、強引に副会長をさせられた時もあったんです。
 そのことで、口では強引だとか文句を言いながらも、允紘と過ごす時間の充実感に、悠生は惹きつけられずにはいられなかったんです。

 けど、悠生はそういう気持ちを、允紘に認めることがなかったのに対し、逆に允紘の方は、悠生が自身にとって別格であることを、何のためらいもなしに認めてたんですって。

 そういう性質の違いは、育った環境にあったみたいで、悠生の両親が共に実業家で忙しかったので、金銭的には不自由しなかったんですけど、その分、あまり家庭の温かみを知らずに育ってきたんです。
 その上、中学2年生の時に母親が亡くなった時、さほどの動揺を見せなかった父の姿に、心を傷つけられてしまったんですよね。
 そして、その時までは漠然と感じていた『人間』や『愛情』というものに対する不信感を、この時ハッキリと自身の中に根付かせてしまったんです。
 悠生自身、自分の中に、人の愛情を簡単には信じないという頑ななところがあると自覚はしていましたが、本人にももうどうすることもできないくらいに大きくなってしまったんですよね。
 だから、自身と正反対の『人を信じ、愛することにためらいを持たない、人を幸福にするために自分にはできることがあると信じ、情熱を持って行動できる允紘は、ある意味脅威の存在だった』んです。


 一方、允紘の方ですが、倉木家というのは、明治時代から政治に関わっていて、曾祖父から与党の議員を務めているという生粋の政治一家なんですよ。
 そして、一人息子で跡継ぎの允紘も、政治家になると公言していました。


 悠生にとって、允紘からの特別な信頼や、周囲からも親友として扱われることは、幸福も与えてくれましたが、逆に苦悩をもたらすものでもあったんです。

 允紘への思いは、恋に変化していましたし、初恋でもありましたからね。
 けど、自分たちは男同士でしょう?
 だから、自身の思いは成就されることはないと思ってたんですよね。
 それに、告白した結果、親友としての彼さえ失ってしまうかもしれなくて、怖かったんです。
 なので、そんなことになるくらいなら、苦しくても親友のままでいいと思ってたんです。


 そんな均衡を破ったのは、允紘の方でした。
 19歳の夏休み、皆が来るからって、允紘の別荘に悠生は呼び出されたんです。
 でも、そこに友人たちの姿はなく、自身と允紘のふたりきりだったんですね。
 允紘がそんな手の込んだことまでして、悠生を呼び出したのは、告白するためでした。

 でもね、悠生は、夢のようだと思いながらも、允紘の思いを受け入れることはできなかったんです。
 それはやっぱり、彼の夢が政治家になることだったからです。
 男同士である以上、恋人になっても允紘の足枷になるだけだと思ったんですよね。

 そうは思っても、思いが叶いましたからね。
 そう簡単には、諦められないですよね。
 それに、自身が允紘に告白することで引かれてしまい、疎遠になるのが怖いと思ってたでしょう?
 だから、逆に自身が允紘をふることで、そうなる可能性もなくはないですよね。

 そこで、允紘に考える時間を1時間欲しいって言うんです。
 その間に、愛を受け入れるわけにはいかないけれど、彼をどうしても自身に引き止めておくにはどうすればいいかを考え、精一杯の一人芝居をするためのシナリオを書きました。

 でね、「つまり、允紘は、俺と寝てみたいわけだ?」「俺も、允紘となら、してみたい気がする。お前はそれだけいい男なわけだし、俺も男とは経験がないし、――ちょっと人生経験を増やしてみるのもいいかな」って、女性とすら経験がないのに、蓮っ葉な物言いをしたんです。

 当然、允紘は驚きましたよ。
 そして、「俺が言っているのはそういうことじゃない。俺はお前の一生の相手になりたいんだと訂正したんです。

 まさか、そこまで思ってくれているとは思ってなかったので、悠生は絶句です。
 いくら人を信じられない悠生でも、允紘が有限実行の男なのは知っているので、彼が生涯を懸けて自身の言葉を誠実に守り通すことはわかりましたからね。
 けど、今更芝居は辞められないし、何より允紘の将来のことを考えるとやはり受け入れられないですものね。
 なので、「一生?やめてくれよ。俺たち、まだ、二十歳にもなっていないんだぜ?誰か一人に縛られるのは、早すぎるんじゃないのか?」って、更に軽薄な口調を作って笑ったんです。
 その上、「一生が重いっていうのなら、それは保留でもかまわない。でも、俺はお前と恋愛がしたいんだ。ただ、“寝てみたい”わけじゃない」って言ってくれた允紘に、「それが、“重い”んだよ。…“恋愛”、ねぇ。俺は、それも却下だな。俺がお相手できるのは、せいぜい、“せフレ”っていうところまでだ」って言ってしまったんです。

 せフレだったらいいみたいに言われて、允紘、今度こそ、本当に呆然としてました。
 そんな傷ついた允紘の表情に、自身も傷ついていた悠生でしたが、表面上は平静を取り繕っていました。

 数瞬で決断した允紘は、「悠生がどんな意識でいてもいい。俺はお前を恋人だと思うし、そのつもりでお前を抱く。お前を一番大事にするし、悠生を俺から“離れられなく”してやるよと、強気に言ったんです。
 でもね、その一方で、条件も出してきたんです。
 「ただし、お前も、俺と関係している間は、他の誰かに目を向けたりしないでくれ。それでいいな。」って。

 『允紘が悠生を恋人だと思い、悠生が他の誰にも目を向けないというのなら、二人の関係は“恋人同士”以外の、いったい何だというのだろう?』と、『愚かな約束』だと思っても、それが『お互いの胸にある思いをなだめ、適度な距離を保つためのルールを決めて、互いに、相手を自分の腕に引き寄せるためには』必要だと、受け入れたんです。


 そして、そのスタンスは変わることなく、8年間という月日を共に過ごしてきたんです。
 互いに忙し過ぎて、せいぜい会えるのは1ヶ月に1回くらいだったんですけど……。
 で、悠生は警察官僚に、そして半年前に、いずれ総理になるだろうと目されていた大物議員だった允紘の父が、心筋梗塞で亡くなったため、その地盤を継いで、允紘が衆議院議員になりました。


 普段なら、興味がない悠生でしたが、しばらく允紘に会えていないせいで、人恋しく、高校の時の友人何人かで集まる同級会に参加したんです。
 で、その時、友人のひとりから、允紘に関するあることを聞かされたんです。
 悠生は、わかっていたことだと、自身を諭しながらも、かなりのショックを受けたんですね。
 そして、そのことがきっかけになり、悠生はある決心をしました。

 更に、悠生の元に脅迫状も届いたんです。
 悠生と允紘のキスシーンを含めた20枚の写真と、伝言ダイヤルに電話しろという手紙が入っていました。

 悠生、警視庁捜査一課管理官ですからね。
 それに、相手があまり利口なタチではなく、上手く悠生の誘導に引っかかってくれたため、相手の目的がお金でも、允紘でもなく、自身の体だということに気付いたんですよね。
 簡単に言えば、ストーカーですよね。
 そしともうひとつ、相手の声に聞き覚えもあったんです。
 そこから、すぐに相手が誰なのか、わかりました。

 けれど、悠生は決心したことを実行するために、この相手を利用することにしたんです。


 悠生が決心したこととは?
 それを実行するために、悠生がしようとしたことは?
 そして、悠生と允紘の関係は?




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 飛沢先生、ご家庭のご事情などで、本をだされるのは4年ぶりだそうです。
 そのお言葉通り、私も、おっ!!飛沢先生の本出るんだ、久しぶり〜!!と思って購入しましたもの(苦笑)

 そんなに沢山飛沢先生の作品読んでるわけではないのですが、私の中で残っている印象が熱情なだけに、ふたりともいい人で、ちょっぴり物足りなさ感みたいなのはありました。
 そして、久しぶりに読んだ印象ですが、ちょっと古い?って思ってしまいました。
 言葉(単語)のチョイスが、古いように感じたんですよね(←ゴメンナサイ 滝汗)

 けど、自身はどうなってもいいって、ここまで一途に互いのことを思い会えるふたりは、ステキでしたよ〜!!



〜ツボな脇キャラ〜
 倉木比沙子(ひさこ)

 允紘のお母さんです。
 ふたりがマジメすぎて、あまり笑うところのなかった作品だったんですけど、姉御肌で、サバサバした比沙子さんは、妙に私のツボに嵌り、爆笑させてくれました〜。



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小説xxxxx474作品 コミックxxxxx193作品 UP中


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